渋谷慶一郎『MIRROR』パリ・シャトレ座での公演動画、一部公開へ | Numero TOKYO
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渋谷慶一郎『MIRROR』パリ・シャトレ座での公演動画、一部公開へ

© Photo by Claude Gassian
© Photo by Claude Gassian

音楽祭とファッションウィークで賑やかだった6月のパリ。2023年6月21日(水)から3日間、シャトレ座で上演された渋谷慶一郎によるアンドロイド・オペラ®︎『MIRROR』。その公演の様子を伝える動画が公開された。

電子音と法螺貝が鳴り、ステージの中央にアンドロイド・オルタ4、そしてピアノと渋谷慶一郎、47人編成のオーケストラ・アパッショナート、5人の僧侶たちが現れる。序曲となる「MIRROR」では、オルタ4の合成音声、オーケストラ、僧侶たちの声明、そして背後のスクリーンではジュスティーヌ・エマールによる映像が呼応する。圧倒的な情報量と重層的な音が放たれた。

Photo by Thomas Amouroux
Photo by Thomas Amouroux

その後、オルタ4はフランス語でのMCも行い、楽曲の合間には僧侶たちと語るように歌うレチタティーヴォも。ChatGPTが僧侶たちの声明のテクストから歌詞を生成し、オルタ4がそれを即興で、オブリガードのように歌う。

一方「On Certainty」では、ウィトゲンシュタインのテクストから抜粋されたものを、オルタ4が人間には不可能なロングトーンで歌い上げた。レチタティーヴォでのAIが生成した歌詞と、人間が生み出した言葉からの引用とが対比される。

Photo by Thomas Amouroux
Photo by Thomas Amouroux


また、昨年話題となったGucciとのショートフィルム『Kaguya by Gucci』のサウンドトラック「I Come from the Moon」もオーケストラバージョンに。そこではまるで少女のようなオルタ4の声が響いた。

公演の最後には、新曲「Lust」を。真言密教の経典「理趣経」をベースに生成された歌詞をオルタ4が歌い、僧侶たちは人間の欲望をも肯定するといわれる「十七清浄句」を唱える。声明とオルタ4の絶叫のような高音が混じり合う。

Photo by Thomas Amouroux
Photo by Thomas Amouroux

そして、アンコールには渋谷とオルタ4による、静謐な「Scary Beauty」。全12曲、70分を超える公演となった。

現在公開されている映像は、この公演の一部だが、2024年2月頃には国際交流基金のオンライン配信プログラム「STAGE BEYOND BORDERS」にて、全編が公開予定とのこと。お楽しみに。

Text:Hiromi Mikuni

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