毎年注目の「ルイナール」アーティストコラボレーション、2023年はエヴァ・ジョスパンが制作 | Numero TOKYO
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毎年注目の「ルイナール」アーティストコラボレーション、2023年はエヴァ・ジョスパンが制作

世界最古の歴史を有する名門シャンパーニュ・メゾン、ルイナール。ルイナールが毎年行っているのが、「カルト・ブランシュ」と名付けられたアーティストとのコラボレーション。国際的に活躍する現代アーティストをランスにあるメゾンに招き、メゾンの価値を再解釈した作品を制作、その作品を通じてメゾンの歴史と価値を再解釈することを狙いとしている。2023年の今年このプログラムに参画したのは、パリを拠点に活動するエヴァ・ジョスパン氏だ。

大きなカードボード、つまりはダンボールを丹念に彫刻し、巨大な森を創造するインスタレーションを中心に、浮き彫り、ドローイング、刺繍といった様々な手法による作品を発表しているジョスパン氏。これまでも、ジヴェルニー美術館やフランス国立自然史博物館などで展覧会を開催したほか、クリスチャン・ディオールの2023年春夏コレクションのショー会場装飾を担当するなど、世界的に注目を集めるアーティストだ。

今回のプログラムのために、メゾンの本拠地であるシャンパーニュ地方とランスを3度に渡って訪れたジョスパン氏がインスピレーションを得たのは、この地方そのものの存在とメゾンの遺産から。敷地を訪れ、シャンパーニュ作りのノウハウを学び、さらには2022年の収穫にも参加。そこに脈々と受け継がれる歴史と時間の流れを肌で感じたという。

こうした経験を通じて生まれたのが、「プロムナード(s)」だ。モンターニュ・ド・ランスを、現実と架空の双方からなる地層と時間の断面として表現。絡み合う根、ランス大聖堂でのフランス国王の戴冠式など、テロワールに結びつく様々な象徴を取り入れた作品となっている。

なかでもジョスパン氏が最も感銘を受けたのが、ルイナールの地下38mに広がる、ローマ時代の白亜質の石切場跡「クレイエル」。その神秘的な空間に魅了されたことが、この作品の核を担っているという。

パリの工房で6ヶ月以上の月日を費やし、手作業で忍耐強く作り上げられた作品とシャンパーニュ作りに共通するのは、丁寧な動作と時間の積み重ねが生み出すものの大切さ。驚くほど壮大、それでいて緻密に重ねられたインスタレーションの数々は、時空を超え、見るものをシャンパーニュ地方へと誘うものとなった。

ルイナール
www.mhdkk.com/brands/ruinart/

Text: Mamiko Izutsu Edit: Michie Mito

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