ダミアン・ハーストらが出展。「NFT」がアートにもたらす影響を考える展覧会開催
インターネット上の画像が高額で落札されるなど、世界を席巻するNFTブームが到来している現在。オンラインとオフラインで展開しながら、NFTがアートに与える影響を考える「超複製技術時代の芸術:NFTはアートの何を変えるのか?―分有、アウラ、超国家的権力―」 展が東京・神宮前のGYRE GALLERYで開催中だ。
NFTとは「non-fungible token」の頭文字をとったもので、デジタルデータをオンライン上の完全に独立した固有の価値がある資産として流通させるものであり、ブロックチェーン技術によるデジタルな「オリジナル」の証明システムだ。2021年にはインターネット上の1枚の画像が75億円でデジタルアート史上最高額にして、現代アート現存の歴代作家3位を記録するなど、世界的なブームを巻き起こしている。
NFTアートについての詳細は、本誌でも入門編となる特集記事を掲載した。
本展覧会では、NFT(偽造・改竄不可能なデジタル証明書)を用いた芸術的実験に焦点を当て、「分有」「シミュラクラのアウラ*」「超国家的権力」という3章構成で紹介。それぞれの主題は、「所有・契約」、「制作」、「展示」という作品の前提条件とも呼応し、20世紀の美術史に連なるもの(特にコンセプチュアルアートの論理的帰結)として2014年以降の約10年間に制作されたNFTアートを位置付ける試みだ。
出展作家は、ダミアン・ハースト、ラファエル・ローゼンダール、ルー・ヤン、レア・メイヤース、チームラボ、ソル・ルウィット、セス・ジーゲローブ、森万里子、藤幡正樹、施井泰平、鎌谷徹太郎。
なお、オンラインとオフラインで展覧会と関連出版物を展開。NFTが生み出す新しい意味と価値のシステムについての問題を提起し、未曾有の情報環境において現代のアーティストが果たす役割を検証・再定義し、わたしたちの生活の現実と、そこから形作られる精神と文化に、仮想空間が及ぼす影響について模索するという。会期は5月21日(日)まで。
*20世紀を代表する哲学者のひとり、ヴァルター・ベンヤミンによる。複製技術が普及する近代以前の時代を考察し、複製不可能な芸術が持っていた「いま、ここにしかない」という「1回性」や「礼拝的価値」を「アウラ」と呼び、映画や写真が芸術の「1回性」を喪失させ、芸術そのものが世俗化していくことを肯定した。
※掲載情報は4月3日時点のものです。
開館日や時間など最新情報は公式サイトをチェックしてください。
「超複製技術時代の芸術:NFTはアートの何を変えるのか?
―分有、アウラ、超国家的権力―」 展
日時/2023年3月24日 (金) 〜5月21日 (日)
会場/GYRE GALLERY
住所/東京都渋谷区神宮前 5-10-1 GYRE 3F
時間/11:00〜20:00
TEL/0570-056990 ナビダイヤル(11:00〜18:00)
URL/gyre-omotesando.com/artandgallery/nft-art/
Text:Akane Naniwa