今年10周年を迎えるNissyが、ソロアーティスト史上二人目となる6大ドームツアーで伝えたメッセージ | Numero TOKYO
Culture / News

今年10周年を迎えるNissyが、ソロアーティスト史上二人目となる6大ドームツアーで伝えたメッセージ

Nissyの「Nissy Entertainment 4th LIVE -DOME TOUR-」が、2023年3月25日(土)の札幌ドーム追加公演をもって、見事に完走を果たした。自身初であり、ソロアーティストとして6大ドーム公演を実現したのは、史上2人目であり最年少でもある。エンターテイメント界の歴史に残る快挙を成し遂げたNissyは、この公演にどんな想いを込めたのか。2022年5月にリリースされた『HOCUS POCUS 3』を引っ提げ、2022年10月に埼玉のベルーナドームから始まった今回のツアーの中から、2月17日(金)に行われた東京ドーム公演のライブレポを通して読み解く。

歌とパフォーマンス、映像で立体的に綴られた、切ない恋の物語

オープニングは、AI「THREE」の軽妙なトークから。人型の高エネルギー体が地球に接近中というSF映画のような映像が流れ、白いロンTにパンツというシンプルなスタイルのNissyが登場。「Do Do」で東京ドームの5万人は一気にヒートアップし、s***t kingzのkazuki、RADIO FISHのShow-heyを始めとするダンサー陣が登場し、2曲目の「Trippin」へ。メインステージの一部が、Nissyとダンサーを乗せたままセンターステージへ移動。さらに、歌とダンス、炎と花火が連動し、ステージは会場中央に移動しながら3つに分かれ、3曲目「The Ride」では、東京ドームの広さを活かした、立体的なパフォーマンスを披露した。

Nissyからの挨拶のあと、一息つく間もなく、爽やかなディスコチューンの「Never Stop」。ステージがメインに戻り、「Relax & Chill」のメロウなR&B、ポップで切ない「Jealous」へ。

Nissyのライブは、全体がひとつのストーリーになっている。ライブの合間の映像では、地球に降り立ったNissyは、ひとりの“人間”と恋に落ちるが、彼女の記憶を消してその場から去らなくてはいけないという切ない物語が展開する。またNissyお馴染みのMVとの細かな連動で楽しませる。演じるのは、女優の徳永えり。

黒のロングコートとオールブラックのスタイリングのNissyが再び登場し、「君に触れた時から」で、ドーム全体が切ない雰囲気に。センターステージの噴水がウォータースクリーンとなり、MVを彷彿とさせる巨大な鯨が東京ドームの中を泳ぐ演出も。

スクリーンでは、AIの「THREE」が彼女は去ったことを告げる。街で雨に濡れる彼女を見つけたNissyは傘を差し出したが、彼女はもう知らない人を見る表情だ。会場が静まり返る中、センターステージの噴水の中で「Don’t Stop The Rain」を歌うNissy。ペンライトが青に変わり、ドーム内は青一色に。僕は君のなんだったんだろうか、二人の出会いは特別だと感じていた、という映像を挟んで「Say Yes」へ。

コロナ禍によって制限された暮らし。それでもエンタメは必要だと思っていた

雰囲気は一転、スクリーンでは、ラジオをイメージした『Nissy Entertainmentのオールナイトニッシー』と題して、地域の名産品を紹介したと思えば、学生服のNissyがチョコレートプラネットと3人で「静かにしろ」のネタを披露。ドーム内は笑いに包まれる中、うさぎの耳をつけた虎の着ぐるみが運転するカートが巨大なスーツケースを運ぶ。中から着ぐるみのNissyが飛び出し、「DANCE DANCE DANCE」で一気に華やぐ。たくさんのチアダンサーが登場し大規模なラインダンスも。「The Eternal Live」では、LIVEバージョンにアレンジされバンドとダンサーの紹介をしながら、ダンサーたちが次々と技を披露し、Nissyもブレイクダンスの片手フリーズを決めるという場面も。

そして、MCでは、今回のドームツアーに込めた想いを吐露。Nissyの声を、なるべくそのままの言葉でお届けします。

「今回のツアーはアルバム『HOCUS POCUS 3』、直訳すると“おまじない”や“いたずら”という意味です。3枚目のオリジナルアルバムを引っ提げてのドームツアーですが、ツアーの初日、昨年10月のベルーナドームではみなさんの声を聞くことが許されてなかったんですね。こんなこと二度とないだろうなと思いながら、ツアーを続けて、2月4日の京セラドームから、100%みなさんの声を聞くことが許されるようになりました。ベルーナドームとバンテリンドームが拍手のみ、12月の福岡から声が少しずつ聞けるようになって、京セラドームで100%の声が聞けるようになったりと、ツアー中に大きな変化があったんです。

僕がこのアルバムを作っていたときは、みんな同じ環境の下で、あの出来事を経験していました。2020年の3月頃ですね。生活するのもままならない状態で、どうしたらいいんだろうという状況が続きました。普通に暮らすこと、食べること、買い物に出掛けることも許されない。家族がもし何かあったら離れなくちゃいけない。でも、エンタメはそれでも必要だと思ったんです。何かやらなきゃって、4月に一人で思い立って『僕にできること』を発表して。でも、そのあとアルバムの歌詞が全然書けなくて。ひとりで家族にも会えない。そんな状況の中、偶然、YouTubeでチョコプラさんの『静かに』というネタを見たんです。コロナの前に作られたネタですが、その時、僕らは静かにしていなきゃいけない状況だったけど、それでもこんなエンタメが作れるんだと思ったんです。これに救われました。

今回のこの出来事は、将来、教科書に載ると思います。ただ、エンターテインメントが教科書に載ることはほとんどないんですね。だから、今回のアルバムは30〜40分の映像をつけたんですが、10年後20年後に自分のアルバムを手に取ってくれた人が、なぜNissyは曲の展開に合わせて、映像をつくってるんだろう、そういえば、この時、こんなことあったなって思い出してくれたら、ある意味で、教科書に載る代わりになったらという願いを込めました。

このツアーを発表した時点では、まだコロナも収束していなくて、この段階でドームツアーをやるの?という批判もありました。でも前に進まないと。ただ、みんなは来にくいだろうな、どうすれば来やすくなるかなと考えて。今回のこの出来事によって、いろんな経営が難しくなった地方もあると聞きました。僕が6ヶ所をドームツアーを回る中で、集まってくれたみんなが、Nissyのライブのついでにお土産を買ったり観光することで、地方のみなさんもちょっとは潤ってくれるんじゃないかなって思ったんです。6大ドームツアーですが、他にも沖縄や愛媛、京都の福知山なども周っています。地域創生も兼ねたら、きっとみんな行こうと思ってくれるんじゃないかなと。

いつもライブではお伝えしていますが、今日は今日しかなくて、今は今しかなくて。たった一回の人生で、今日は今日しかない。みなさんが、大切な1日を使って、チケットを買って、僕のコンサートを見るためにここにきてくれたこと、とても感謝しています。本当にありがとうございます」

Nissyとして10周年。今後の展開も予告

「I need you」「僕にできること」を歌い上げる。そして、ドームに雷が鳴り、レーザーの幽霊、花火の轟音が響く。会場いっぱいのゾンビダンサーズが登場し、「Get You Back」へ。

さらに、「The Days」では、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンの人気キャラクターが東京ドームに出張! セサミストリートのエルモとクッキーモンスター、アーニーとバード、「Peanuts」からスヌーピーとルーシー、チャーリー・ブラウンがNissyとともに、フロートに乗って登場。フラッグパフォーマンスの100人近いダンサーたちに、花火、噴水の演出も加わり、会場の盛り上がりは最高潮に。「トリコ」、タオルを回す「Cat&Mouse」「NA」で本編は締め括った。

アンコールは「まだ君は知らない MY PRETTIEST GIRL」でスタート。MCでは、即興でカバー曲を披露する場面も。今年は「Nissy」として10周年となるので何かできたらと、今後の展開を予感させながら、「ワガママ」「My Luv」で、西島隆弘総合演出の“Nissy Entertainment”の幕が閉じた。

Nissy Entertainment 4th LIVE ーDOME TOURー
2月17日@東京ドーム セットリスト

Do Do
Trippin
The Ride
Never Stop/Relax & Chill
Jealous
君に触れた時から
Don’t Stop The Rain
Say Yes
DANCE DANCE DANCE
The Eternal Live
I need you
僕にできること
Get You Back
The Days/トリコ
Cat & Mouse
NA

(アンコール)
E1. まだ君は知らない MY PRETTIEST GIRL
E2. ワガママ
E3. My Luv

Text: Miho Matsuda

Magazine

APRIL 2024 N°175

2024.2.28 発売

Mother Nature

花鳥風月

オンライン書店で購入する