今こそ求められる「緑のテーブル」再演
スターダンサーズ・バレエ団が、ドイツの伝説的コンテンポラリーダンサー、ピナ・バウシュの師でもあるクルト・ヨース振付の『緑のテーブル』を再演する。
今年3月の公演でも好評を博し、再演を希望する声にこたえての上演だ。
この作品のテーマは“反戦”。ステージに置かれた緑のテーブルでは架空の国の国際会議が行われ、身勝手な指導者たちの衝突、戦争を利用するものの暗躍、それに振り回される兵士やその家族の葛藤といったものが描かれる。
まさに、ウクライナで起きていることがそこに凝縮されていると言えるだろう。人によっては、せっかくの舞台でそんなものを見たくない、と思う人もいるはずだ。苦しい現状を毎日目の当たりにすることで、正直お腹いっぱいだという人の気持ちも分かる。
だが、そんな中でもあえて足を運び、デフォルメされた人間の愚かさや弱さ、見得、欲、そういったものを目の当たりにする強さのある人は、また、見たものを他の人に伝えていく。
そうした一つ一つの出来事が、わずかではあるが、演劇やその他の文化が世界を変えていく力を産み出すことになる。
そうした意味でもこの夏、コロナで中止となった幾多の公演を思う時、失ったものの大きさを感じずにはいられない。
同時上演される「ウェスタン・シンフォニー」はジョージ・バランシン振り付けの陽気な作品だ。19世紀開拓時代の古き良きアメリカ、の雰囲気を存分に楽しめる。
人間の好ましい部分とそうでない部分。その相反するものを表現していく公演になっている。
舞台:スターダンサーズ・バレエ団公演「Dance Speaks 」神奈川公演
●ウェスタン・シンフォニー
振付/ジョージ・バランシン
音楽/ハーシー・ケイ
振付指導/ベン・ヒューズ
●緑のテーブル
台本&振付/クルト・ヨース
作曲/フリッツ.A. コーヘン
美術/ハイン・ヘックロス
マスク&照明/ハーマン・マーカード
舞台指導/ジャネット・ヴォンデルサール
照明再構成/ベリー・クラーセン
ピアノ/小池ちとせ 山内佑太
会場/神奈川県民ホール 大ホール
公演日程/2022年9月3日(土)15:00 開演 14:15 開場 (14:40~バレエ団総監督小山久美によるプレトークを予定)
料金/全席指定・税込
S席 8,000円、 A席 5,000円、学生券 2,500円(25歳までの学生対象、取り扱いはバレエ団のみ、当日要学生証)
取り扱い/スターダンサーズ・バレエ団、チケットかながわ、チケットぴあ(Pコード:513 028) 、イープラス