京都・二条の新スペース「PURPLE」にて畠山直哉展開催 | Numero TOKYO
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京都・二条の新スペース「PURPLE」にて畠山直哉展開催

本と展示とイベントを中心に、さまざまな出会いと表現の場とし新たにオープンしたスペース「PURPLE」(京都・二条城南東)。アート写真集で定評のある出版社・赤々舎が手がけるスペースだ。その記念すべき第一弾の展覧会として、畠山直哉展「津波の木」が開催中。

畠山直哉『2019年8月2日 福島県南相馬市』2019|発色現像方式印画|1080×1266mm
畠山直哉『2019年8月2日 福島県南相馬市』2019|発色現像方式印画|1080×1266mm

畠山直哉は1958年岩手県陸前高田市生まれ。東京を拠点に活動を行い、自然・都市・写真の関わり合いに主眼をおいた、一連の作品を制作してきた。今回PURPLEにて公開中の「津波の木」は、畠山が2018年から撮りためてきた津波の刻印の残る木々や、風景写真のシリーズだ。「DOMANI・明日2020 傷ついた風景の向こうに」展で初めて発表されたが、今回は新作を含む構成にて紹介されている。

例えば、被写体のひとつ「まっぷたつの木」は、半分は津波によって枯死し、もう半分は今なお葉を茂らせ生きているという。あの時から昨日に至るまでの時間を留めながらも、同時に生きている「いま」の時間を描いている。畠山は「喪失を抱きながらも続いていく生の有りようを投影した」という。
また、白日夢のように浮かぶ枯木の島や、白く立ち枯れた杉の群れの風景は、人間とは異なる時空を思わせ、時間軸や存在についての思考を呼び覚ます。樹々の周りにある防波堤や盛土、高速道路、清掃する人影など、変化していく環境の姿は、自然と人間の営みとの関わりを写し出していると言えるだろう。
私たちがそれぞれに抱える時間や記憶について考えさせる、「津波の木」。ぜひお見逃しなく。

©︎Yuki Moriya
©︎Yuki Moriya

©︎Yuki Moriya
©︎Yuki Moriya

※掲載情報は4月19日時点のものです。
開館日や時間など最新情報は公式サイトをチェックしてください。

畠山直哉「津波の木」
会期/2022年3月26日(土)〜5月8日(日)
会場/PURPLE
住所/京都市中京区式阿弥町122-1 式阿弥町ビル 3階
開館時間/13:00〜20:00(月・火・木・金曜)、11:00〜19:00(土・日曜)
休廊日/水曜
URL/purple-purple.com/

Text:Akane Naniwa

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