家族と思い出を考える。写真家・浅田政志の個展開催中 | Numero TOKYO
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家族と思い出を考える。写真家・浅田政志の個展開催中

『アルバムのチカラ』(2011-2021)より
『アルバムのチカラ』(2011-2021)より

「家族」と「記念写真」をテーマに活動する写真家・浅田政志。その制作の原点から最新作までを言葉とともにたどる、最大規模の個展を水戸芸術館現代美術ギャラリー(茨城)で開催中だ。

写真集『浅田家』の発表以来、自身の家族を被写体に、自らも一緒にさまざまなシチュエーションを演じるセットアップ写真の手法で、時とともに変わる家族の様子を取り込みながら作品制作を続ける写真家の浅田政志。同作は第34回木村伊兵衛写真賞の受賞や、映画化されるなど、その存在を広く知られるきっかけともなった。

(参考)アーティストが改めて考える“家族” vol.4 浅田政志

また浅田は、被写体として公募した家族を撮り、撮影自体が「記念」となる作品も制作している。東日本大震災では津波に流された写真を洗浄するボランティア活動に携わり、その経験からアルバムをつくり、そして残すことの大切さを伝える活動も行っている。

本展では、これまでの全シリーズに加え、最新作『私の家族』茨城版を発表する。震災後10年を迎えた岩手県野田村の写真返却活動の今を追跡するという。『私の家族』では、参加者を被写体かつ共同製作者として迎え、その人にとっての家族や記憶や思いに焦点を当てて制作。浅田による写真と参加者による文章で家族の物語を表現するといったものだ。

『浅田家/消防士』(2006)
『浅田家/消防士』(2006)

コロナ禍になりステイホームが余儀なくされるなど、これまで以上に「家族」と向き合う場面が増えた昨今。さらに自然災害の頻度が高まる今、「思い出をいかに残すか」は重要な問いでもある。さまざまな家族像を通して、自分にとってのベストアルバムに思いを馳せてみては。

『私の家族/横川彩』(2021)より
『私の家族/横川彩』(2021)より

浅田政志 だれかのベストアルバム
会期/2022年2月19日(土)~5月8日(日)
会場/水戸芸術館現代美術ギャラリー
住所/茨城県水戸市五軒町 1-6-8
開場時間/10:00~18:00(入場は17:30 まで)
休館日/月曜日※ただし3月21日(月・祝)は開館、3月22日(火)休館
料金/一般900 円、高校生以下・70 歳以上、障害者手帳などをお持ちの方と付き添いの方1名は無料
TEL/029-227-8111
URL/www.arttowermito.or.jp/

Text:Akane Naniwa

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