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伝説の展覧会を呼び覚ます「まちへ出よう展」@ワタリウム美術館レビュー

会場風景
会場風景

1995年にキュレーターのヤン・フートとワタリウム美術館が協力し、青山、原宿の街中に現代美術の作品を設置した「水の波紋 95」展。伝説となったその展覧会を呼び覚まし、次なる波紋へと広がって行くことを目指した「まちへ出よう展」がワタリウム美術館で開催中。現代美術家の金子未弥がレポートする。(『Numero TOKYO(ヌメロ・トウキョウ)』2021年5月号掲載)

ホワン・ヨンピン 「竹帚( たけぼうき)」 1995年、宮島達男「時の蘇生・柿の木プロジェクト」1995年
ホワン・ヨンピン 「竹帚( たけぼうき)」 1995年、宮島達男「時の蘇生・柿の木プロジェクト」1995年

「水の波紋 95」から届いた、
世界が変わる時のための招待状

外出自粛で息苦しい生活を経験すると「まちへ出よう」という言葉は特別な希望に満ちている。心地よい春の匂いを感じながら、表参道駅からワタリウム美術館へ向かった。

この展覧会の起点になっている「水の波紋 95」とは、1995年に青山、原宿地区の40か所に48名のアーティストの作品が設置され反響を呼んだ展覧会である。阪神淡路大震災と地下鉄サリン事件が立て続けに起こり、緊張感が残っていたであろう街中に現代美術の一石が投じられた。現在行われている「まちへ出よう展」ではその源流をたどるとともに「水の波紋 95」の影響を現在に受け継ぐアーティストの作品が展示されている。

キース・ヘリング 壁画( 部分) 1983年
キース・ヘリング 壁画( 部分) 1983年

「水の波紋 95」を率いたキュレーターのヤン・フートは、水に石が投げ込まれると広がる波紋は周辺にカオスを引き起こすと言う。さらに、あらゆる素晴らしいアイデアはカオスから生まれると。そう、だからアーティストは波紋を起こすためにまちへ出たのだ。

映像に記録された「なんだこれは」と言いたげに作品に見入る人の表情が頭から離れない。思いがけない作品に対面した時の、困惑と喜びが入り交じったあの高揚感。これこそ、まちでアートを発見する醍醐味であったことを思い出す。アーティストが起こす波紋は未来への期待を意味しているのだ。

最後に、QRコードを読み取って聴く作品解説が非常に充実しているので、どうかイヤホンを忘れずに。

カールステン・ニコライ「ケルネ」 1999年
カールステン・ニコライ「ケルネ」 1999年

ヴォルフガング・ライプ「タンポポの花粉」 1990年
ヴォルフガング・ライプ「タンポポの花粉」 1990年

「まちへ出よう展 〜それは水の波紋から始まった〜」

会期/2021年2月6日(土)〜6月6日(日)
会場/ワタリウム美術館
住所/渋谷区神宮前3-7-6
開館時間/11:00〜19:00(毎週水曜日は21:00まで延長)
休館日/月(5月3日を除く)
TEL/03-3402-3001
URL/watarium.co.jp

事前予約制を実施中。(5月2日現在)
予約方法や最新情報は公式ウェブサイトをご確認ください

Text:Miya Kaneko Edit:Sayaka Ito

Profile

金子 未弥Miya Kaneko 現代美術家。1989年、神奈川県生まれ。人々の記憶から都市の姿を模索するインスタレーションやワークショップなどを行う。各地のアーティストインレジデンスに参加。ART INTHE OFFICE 2018受賞。

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