Culture / Feature

『WONDER ARCHITECTURE 世界のビックリ建築を追え。』

そのフォルムに心揺さぶられること。見かけだけでなく、時代性や理念にあふれ、知られざる価値を放っていること──。まさに“驚きの建築”ばかりの一冊。あふれる1960〜70年代カルチャーの息吹が、いまを生きる私たちに“効く”理由とは?(『ヌメロ・トウキョウ(Numero TOKYO)』2020年12月号掲載)

マッティ・スーロネン『フトゥロ』(1968年)©Matti Suuronen/Museum of Finnish Architecture
マッティ・スーロネン『フトゥロ』(1968年)©Matti Suuronen/Museum of Finnish Architecture

あなたは、建築というものに心震えた経験があるだろうか。現物はもちろん、写真や紙面でも構わない。最初はとにかく「何だこれは!」というインパクト。続いて幾つもの「なぜ?」が湧き上がる。なぜこんな形なのか、誰が、どんな思いで、どうやって作り上げたのか…。

例えば、UFO型をした“未来の住宅”『フトゥロ』。泡のような球体が連なるピエール・カルダン別邸のバブルハウス。超古代遺跡(オーパーツ)を思わせる幾何学的な構造体。建築家の名を挙げれば、黒川紀章のカプセル型別荘、オスカー・ニーマイヤーによるモニュメンタルな文化複合施設まで。本書は、小誌に掲載されたものをはじめ、これら「ビックリ建築」の魅力に取り憑かれた編集者による20年余りの探求をまとめた一冊。

アウグスティン・ヘルナンデス・ナヴァロ『ヘルナンデス・オフィス』(1970年)Photo/J-P de Rodliguez Ⅲ
アウグスティン・ヘルナンデス・ナヴァロ『ヘルナンデス・オフィス』(1970年)Photo/J-P de Rodliguez Ⅲ

オスカー・ニーマイヤー『ニテロイ現代美術館』(1996年)Photo:森嶋一也
オスカー・ニーマイヤー『ニテロイ現代美術館』(1996年)Photo:森嶋一也

その多くは1960〜70年代、宇宙時代の幕開けを受けて新たな建築のあり方を問うべく建てられたもの。いずれも、単なる流行や奇抜さを超えた魅力にあふれている。未来を拓(ひら)く思想、“社会運動としての建築”に息づく熱量が、時空を超えたメッセージを放っているのだ。

黒川紀章『寒河江市庁舎』(1967年)のメインロビーに浮かぶ岡本太郎の彫刻作品『生誕』
黒川紀章『寒河江市庁舎』(1967年)のメインロビーに浮かぶ岡本太郎の彫刻作品『生誕』

翻(ひるがえ)って現在。理念なき前例主義や経済合理性が機能停止に陥るなか、建築は何をつくり出せるのか。大いなるヒントが、ここにある。

『WONDER ARCHITECTURE 世界のビックリ建築を追え。』表紙。写真はアンティ・ロヴァグ『ゴーデ邸』(1970年)。
『WONDER ARCHITECTURE 世界のビックリ建築を追え。』表紙。写真はアンティ・ロヴァグ『ゴーデ邸』(1970年)。

『WONDER ARCHITECTURE 世界のビックリ建築を追え。』

建築・デザイン誌の編集者として世界中の「ビックリ建築」を探訪してきた著者。日本、欧州、南米、旧グルジアなどを巡り、カルチャー視点を交えてその魅力に迫る。
著者/白井良邦
発行/扶桑社
価格/¥3,200
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Edit & Text : Keita Fukasawa

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JANUARY / FEBRUARY 2022 N°153

2021.11.27発売

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