LEMAIREのショップが青山にオープン。SKWATと仕掛ける 新時代のショッピング体験とは?
ファッションブランドの立ち位置やアクションに注目が集まる昨今。10月1日(木)にLEMAIREのフルコレクションをが揃う青山に期間限定ショップをオープン。これまでのラグジュアリーブランドのブティックとは一線を画すコンセプトは、これからの世の中における価値感を体現しているかのよう。また、併設されたアートブックを取り揃えるtwelvebooksや地下のギャラリーPARKなど、奥行きのあるショッピング体験が楽しめるのも新しい。その全貌をデザイナーのコメントとともに、いち早くお届け。
生活の上にある機能的で美しい服を知的なアプローチで提案し続けるLEMAIRE(https://eu.lemaire.fr)。UNIQLO Uの展開でも人気が高く、ファンが増え続けているのはご存知の通り。今回のショップオープンは、パリのマレ地区に構えるフラッグメントショップに続き、2軒目。LEMAIRE AND SKWATはブランドの新たな一面を体現している。
まず、知っておきたいのが、このショップをプロデュースしたSKWAT(https://www.skwat.site)というプロジェクトについて。都心の空き物件を一時的に占拠し、コラボレーションを続けることで人々が集い、時代の変化とともに形を変えながら、新たなクリエイティビティとエネルギーを喚起する空間を創る活動だ。HPのトップにある鳥瞰図の色が付いている場所がすでに占拠された場なのだという。仕掛け人は、都内の東京を拠点とするデザイン・設計事務所DAIKEI MILLS(ダイケイ・ミルズ)とアートブックをメインに扱う海外出版社の国内総合代理店で書籍の流通や展覧会を手掛けるtwelvebooks(トゥエルブブックス)。空間デザインは、むき出しになった配管や使用済みの家具など、すでにその空間にあるものを最大限生かし、より本質的な美しさに迫っている。
SKWATのプロジェクトに賛同した、LEMAIREデザイナーのクリストフ・ルメールとサラ=リン・トラン。彼らはこれまでに日本に親しみを持ち、クリエーションについてもその影響は及ぶと語ってきた。その証がショップの内装と什器にも現れている。彼らが用いたのは、築100年の古民家で使用されていた一軒分の廃材。これらを釘や接着剤を使用せず、木組みのみでディスプレイを作成した。この手法は、数世紀に渡って神社や仏閣などの宗教建築の伝統技法だという。組み方次第で何通りものパターンがあり、小さく畳んで移動させることもできる。サステナブルな(持続可能な)空間の運営ができるというわけだ。
また、2階にはすでに感度の高い人に注目されているtwelvebooksのショップと地下にはギャラリースペースPARK(10月9日オープン予定)が併設。カルチャーやアートへ情熱を注ぐLEMAIREの2人らしい立地になっている。twelvebooksは映画公開や各地のエキシビジョンの開催に合わせ、アートブックのセレクションを随時行い、PARKではイサム・ノグチの照明「AKARI」シリーズの展示販売が控える。南青山の一等地とは対照的に、東京メトロが走る音が轟く広い地下空間には圧倒される迫力があり味わい深い。
2人はショップオープンに際して、次のようにコメントを寄せている。
クリストフ・ルメール「私たちの哲学に忠実に、温かくて特別なショッピング体験を提供したいと思い、ショップオープンに至りました。DAIKEI MILLSが提案してくれた、ミニマルで温かみに溢れる伝統美と現代的なサステナブルな要素の高い建築がとても気に入っています」
サラ=リン・トラン「twelvebooksは美しい本屋さんで、興味深い本が揃っています。店内では、2020年AWのコレクションで、コラボレーションしたアーティストのマルティン・ラミレスに関連した本のセレクションをキュレーションする予定です。本屋さんとの対話をもっと増やしていきたいですね」
ファッションからアート、カルチャーへ。また、その逆も然り。何時間でもい続けてしまいそうな心地よさ。今後はSKWATのHPで展開されるECでも、バーチャルなショッピング体験(一部スタート)も展開されていくという。無限に広がる好奇心を満たし、これからのファッションのあり方を示すショッピングを是非体験してみて。
SKWAT/LEMAIRE
住所/東京都港区南青山5-3-2
営業日時/火曜〜日曜 12:00〜19:00
期間/2020年10月1日〜2021年3月31日(予定)
※10月28日発売のNumero TOKYO12月号ではクリストフとサラ2人の独占インタビューを掲載予定!
Photo:Anna Miyoshi Text:Aika Kawada Edit:Chiho Inoue