Art / Post
チェ・ジョンファ(1961年生まれ)、韓国を代表するアーティスト。でも、この言葉だけでは不十分だ。その活躍ぶりは、あらゆる境界線を無効にしてしまう。日本で人気の作品も数知れず。「六本木アートナイト2019」のメイン作品となった、野菜や果物型の巨大なバルーン。小豆島の港に設置されたオリーブの王冠。十和田市現代美術館の前に立つ跳ね馬のモニュメント。横浜や瀬戸内ほか、各地の芸術祭にも引っ張りだこ。アートに限らず、平昌(ピョンチャン)2018冬季五輪の開会式・閉会式のアートディレクションを筆頭に、キュレーション、インテリアデザインなど、彼の前では分野や職能は意味をなさない。
チェ・ジョンファ個展 「Blooming Matrix 花ひらく森」@ GYRE GALLERY
これまでの作品より。『Alchemy』展示風景(2019年)
天を衝くように積み上げられた柱、無限ループを描く渦……。それは、日常的な品々の配列から生まれた、新たなる生命。アートを権威から解き放ち、この世界に真の活力を取り戻すチェ・ジョンファの錬金術を、GYRE GALLERYで目撃せよ。(『ヌメロ・トウキョウ(Numero TOKYO)』2020年1・2月合併号掲載)
『Alchemy』展示風景(2019年)
『DHARMA AND BENUS』(2019年)
一方でその世界観は「生生活活(せいせいかつかつ)」の一語に集約される。無味乾燥に思える私たちの生活の至る所に、生命力や活気が満ちているという考え方。その象徴となる作品が、プラスチックのザルやボウルなど、日常的な品々を天高く積み上げた柱や、絡まり合い渦を巻く円環状の作品だ。
『Alchemy』展示風景(2019年)
『infinity』展示風景(2019年)
モノと人、人工と自然、干からびた世界と命あふれる世界。相反する要素のもとにあらゆるガラクタを組み合わせ、輝かせるチェ・ジョンファのアート錬金術(アルケミー)。ピカピカ、ギラギラと光を放つ花ざかりの森――極彩色のリアリティが、この世界を塗り替えていく。
アーティスト近影
チェ・ジョンファ個展「Blooming Matrix 花ひらく森」
会期/開催中〜2020年2月24日(月)
会場/GYRE GALLERY
住所/東京都渋谷区神宮前5-10-1 GYRE 3F
TEL/03-3498-6990(GYRE)
URL/https://gyre-omotesando.com/gallery/
Edit & Text : Keita Fukasawa