ヘアメイク × アート etc. 計良宏文の「越境」する展覧会
資生堂のトップヘアメイクアップアーティスト・計良宏文(けら・ひろふみ)の展覧会が、浦和の埼玉県立近代美術館で9月1日(日)まで開催されている。本展は公立美術館において、日本初のヘアメイクアップアーティストによる展覧会開催となる。
計良は、広告や雑誌のヘアメイクを数多く手がけ、パリコレクションや東京コレクションなどのファッションショーでも活躍。現代美術とのコラボレーションでは、2013年に日本を代表する美術家・森村泰昌の「森村泰昌展 ベラスケス頌:侍女たちは夜に甦る」においてヘアメイクを担当。作家のイメージを具現化する高い技術により、それ以降「自画像の美術史」シリーズなど森村作品への参加を続けている。
また、文楽人形のかしら(頭部)を制作し、人形遣い・勘緑の公演に提供。華道家・写真家の勅使河原城一とともに「花」を題材にした共作に取り組んだりと、さまざまなジャンルのクリエイターと協働し、ヘアメイクの概念を刷新する活動を展開している。
本展では、計良が携わった国内外のブランドの中から、アンリアレイジ(ANREALAGE)、ソマルタ(SOMARTA)、ミキオサカベ(MIKIO SAKABE)、リトゥンアフターワーズ(writtenafterwards)、リミ フゥ(LIMI feu)の5ブランドとの仕事を、ウィッグやヘッドピース、制作時の資料類を加えて紹介。ヘアメイクの視点からファッションの現在を展示する。
さらに注目は、ファッションデザイナー・坂部三樹郎とのコラボレーションによる新作映像インスタレーション『FACE』。計良がヘアメイクを、坂部が衣裳のスタイリングを担当し、「ひとりの女性の顔が、ヘアメイクの力で多彩な女性像に変化するさま」を約40台のディスプレイで表現。自由な創造力と卓越した技術によって、ヘアメイクの力と可能性を表現する興味深い展示になっている。
会期中は、トークライブやギャラリーツアー、計良によるヘアメイクの実演などのイベントも開催。そのクリエイションの全貌を存分に堪能しよう!
「May I Start? 計良宏文の越境するヘアメイク」
会期/開催中〜2019年9月1日(日)
会場/埼玉県立近代美術館
住所/埼玉県さいたま市浦和区常盤9-30-1
料金/一般¥1,100/大学・高校生¥880
時間/10:00〜17:30
※展示室への入室は17:00まで
休館日/月(7月15日, 8月12日は開館)
URL/www.pref.spec.ed.jp/momas/
Text : Akiko Kinoshita