自然×アート? ロイス・ワインバーガー展 | Numero TOKYO
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自然×アート? ロイス・ワインバーガー展

ロイス・ワインバーガー『無題』(1996年)
ロイス・ワインバーガー『無題』(1996年)

オーストリア・チロル地方出身の現代美術家ロイス・ワインバーガーが、東京・外苑前のワタリウム美術館にて、2019年7月13日(土)〜10月20日(日)まで個展を開催。「見える自然/見えない自然」をテーマに、自然のダイナミクスを表現する。

農村で生まれ育ったワインバーガーは、植物や動物の絵ばかりを描いていた幼少期を過ごし、両親の農家を手伝いながら鉄骨工の仕事に就いていたが、30歳頃からアート分野へ。自身で荒地植物や絶滅種の植物を育て、各地に植えるフィールドワークを始めた。

ロイス・ワインバーガー『堀とマッチ箱の助けを借りて蟻の卵を手に入れる』(1978年)
ロイス・ワインバーガー『堀とマッチ箱の助けを借りて蟻の卵を手に入れる』(1978年)

1990年後半には、アスファルトを剥がして露出した土に荒地植物を植えて庭をつくり、都市と自然の対比を表現。ドイツ・カッセル中央駅の線路に中央〜東ヨーロッパの荒地植物の種をまいて庭にした作品では、植物を移民のメタファーとして用い、ワインバーガーの名が世界的にも注目されることとなった。さらに、都市内の小さな土地を柵で囲い放置することによって、荒地植物の庭がつくられてゆくプロジェクトなどを通し、独自の表現を展開していった。

ロイス・ワインバーガー『植物を越えるものは植物と一体である』(1997年)
ロイス・ワインバーガー『植物を越えるものは植物と一体である』(1997年)

ワインバーガーは作品を通して、生態や環境について根本的な疑問を投げかけ、植物を素材とした彫刻やドローイング、映像、文章など幅広い制作活動を展開。カッセルで5年に1度開催される現代美術展・ドクメンタや、ベニスヴェネチア・ビエンナーレなどの国際展に参加、ダブリン、パリ、ベルリンなどで数々の個展を開催し、多数の賞を得ている。

ロイス・ワインバーガー『グリーンマン』(2004年)
ロイス・ワインバーガー『グリーンマン』(2004年)

日本においては、1999年にワタリウム美術館で開催されたグループ展「エンプティ・ガーデン」にて初めて紹介された。今回の展覧会は、それから20年ぶりの機会となる。

この夏にはもう一つ、宮城県・石巻市で8月3日(土)〜9月29日(日)に開催される「リボーン・アートフェスティバル2019」にも参加。手つかずの雄大な自然が残る網地島(あじしま)にて、屋外インスタレーション、壁画、映像などを含む7つの大掛かりな作品を制作、展示する(網地島エリアは8月20日より公開スタート)。「ネクスト・ユートピア」をテーマに11名の現代アーティストが集う、こちらの展示にもぜひ足を運んでみたい。

「見える自然/見えない自然 ロイス・ワインバーガー展」
会期/2019年7月13日(土)〜10月20日(日)
会場/ワタリウム美術館
住所/東京都渋谷区神宮前3-7-6
料金/大人¥1,000/学生(25歳以下)¥800
時間/11:00〜19:00
※水は21:00まで延長
休館日/月(7月15日, 8月12日, 9月16日, 9月23日, 10月14日は開館)
TEL/03-3402-3001
URL/www.watarium.co.jp

Text : Akiko Kinoshita

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