生命をつなぐ愛のバトン「大哺乳類展2」@ 国立科学博物館
東京・上野の国立科学博物館にて、特別展「大哺乳類展2-みんなの生き残り作戦」が2019年6月16日(日)まで開催中。9年前に好評を博した「大哺乳類展 陸のなかまたち/海のなかまたち」の第二弾として、今回は「生き残り作戦」をテーマに500点以上の剥製や骨格標本を最新の解析映像なども交えながら展示する。本展の見どころを、セレクトブティック「Sister」のオーナー、長尾悠美がレポート。(「ヌメロ・トウキョウ」2019年6月号掲載)
哺乳類の進化論
ダーウィンの進化論によると“自然淘汰は、わずかな継続した良性変異を利用することによって作用する。これは突然、短時間で起きることではなく、ゆっくりと長い年月をかけたプロセスである”らしい。
2億2500万年前に最初の哺乳類が誕生してから、現在まで約5,400種以上に分類される哺乳類は環境に応じてさまざまな自然淘汰を遂げ、進化を続けている。本展では哺乳類の立ち方から始まり、歩く、走る、跳ぶ、木に登る、泳ぐなどの“ロコモーション(移動運動)”を大きなテーマとし、哺乳類がいかにして現在まで繁栄し命をつなぐために発達してきたかをわかりやすく展示。会場中央には海、陸に生息する哺乳類の剥製が約200種、壮大に展示されており、そのひとつひとつの生態が詳(つまびら)かに紹介されている。
注目すべきはこれだけ多くの哺乳類が剥製という形をとって、同じ空間に混然と並べられているところだ。自然界ではもちろん、動物園でも生存している状態で、これほど多くの動物たちを一緒に見ることはできない。大きさや発達の仕方などの違いをよく比べながら感心して観察することができ、時間を忘れて堪能すべき場所であり、本展の最大の見せ場である。
その後、展示は生きるために欠かせない「食べる」や子孫繁栄のための「産む」「育てる」まで、哺乳類の生涯の一連の流れで締めくくられている。
生命誕生以来、この生存のための奮闘はより有利な性質を後世へ残すために本能として自然選択されてきた。地球上の環境に見合って効率よく生活を営んでいくこと、万物生命の愛のバトンは永遠に続いていくのである。
特別展「大哺乳類展2-みんなの生き残り作戦」
会期/2019年3月21日(木・祝)~6月16日(日)
会場/国立科学博物館
住所/東京都台東区上野公園7-20
開館時間/9:00~17:00(金・土は20:00まで)
※入場は各閉館時刻の30分前まで
休館日/月 ※ただし6月10日(月)は開館
URL/mammal-2.jp/
Text:Yumi Nagao Edit: Sayaka Ito