絵画から建築まで、近代建築の巨匠の原点を探る「ル・コルビュジエ展」 | Numero TOKYO
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絵画から建築まで、近代建築の巨匠の原点を探る「ル・コルビュジエ展」

1920年代、芸術の都パリで頭角を現した一人の画家──ル・コルビュジエ、後に“近代建築の父”と呼ばれる男。 絵画から建築へ。飛躍の時を迎えたそのヴィジョンを、ユネスコ世界文化遺産・国立西洋美術館で体感せよ。(「ヌメロ・トウキョウ」2019年4月号掲載)

20世紀──それは目覚ましき科学の時代の幕開けだった。1918年末、パリで活動する画家のシャルル=エドゥアール・ジャンヌレとアメデ・オザンファンは「ピュリスム(純粋主義)」を宣言。絵画で科学的な法則性を探求するべく、幾何学的な表現を打ち出した。また、彼らの雑誌『エスプリ・ヌーヴォー(新精神)』にジャンヌレは建築論を寄稿。鉄筋コンクリートなどを活用し、様式的で重厚な石壁やレンガ造りの建築を、自由な形態の“近代的な芸術”へと刷新したい──。

「ル・コルビュジエ」というペンネームで記されたその思想は、やがてパリ国際装飾芸術博覧会のパビリオン「エスプリ・ヌーヴォー館」(25年)や、20世紀住宅建築の最高傑作といわれる「サヴォワ邸」(28〜31年)へと結実していく。

ル・コルビュジエ「国立西洋美術館」1955-59年 ©国立西洋美術館
ル・コルビュジエ「国立西洋美術館」1955-59年 ©国立西洋美術館

東京・上野の国立西洋美術館本館(59年)は、そのル・コルビュジエが残した日本で唯一の建築作品。このたび開館60周年を記念して、彼の原点といえるピュリスム絵画や同時代の作家たちの美術作品、建築模型や映像などが公開される。世界遺産の空間で“近代建築の父”誕生前夜と飛躍までの軌跡をたどる、極めて貴重な展覧会。芸術と建築、そして社会への熱き息吹が、ここにある。

国立西洋美術館開館60周年記念「ル・コルビュジエ 絵画から建築へ―ピュリスムの時代」

日本で唯一のル・コルビュジエ建築にて、彼が1920年代に描いた絵画や建築関連資料、同時期のピカソやブラックらの芸術作品など約100点を展示する。
会期/開催中〜2019年5月19日(日)
場所/国立西洋美術館
住所/東京都台東区上野公園7-7
TEL/03-5777-8600(ハローダイヤル)
URL/www.lecorbusier2019.jp

Edit & Text : Keita Fukasawa

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