Art / Post

建築をとらえ直す “不可能な建築展”に注目

映像制作・監督:長倉威彦、コンピューター・グラフィックス:アンドレ・ザルジッキ/長倉威彦/ダンン・ブリック/マーク・シッチ 『ウラジーミル・タトリン「第三インターナショナル記念塔」(1919-20 年)』 コンピューター・グラフィックス、1998 年
映像制作・監督:長倉威彦、コンピューター・グラフィックス:アンドレ・ザルジッキ/長倉威彦/ダンン・ブリック/マーク・シッチ 『ウラジーミル・タトリン「第三インターナショナル記念塔」(1919-20 年)』 コンピューター・グラフィックス、1998 年

建築の歴史には、なんらかの理由により完成に至らなかった建築が数多く存在する。こうした建てられなかった建築に焦点を当てた展覧会「インポッシブル・アーキテクチャー ーもうひとつの建築史ー」が2019年3月24日まで埼玉県立近代美術館にて開催されている。

ヤーコフ・チェルニホフ 『建築ファンタジーカラー・コンポジション、101の建築小図』より、書籍、1933年 個人蔵
ヤーコフ・チェルニホフ 『建築ファンタジーカラー・コンポジション、101の建築小図』より、書籍、1933年 個人蔵

今現在存在する、または存在した過去の建築が成立する背景には、実現に至らなかった数多くの建築がある。未来に向けて提案された斬新すぎる建築や、社会的な条件によって実現しなかった建築まで。このような未完の建築(=アンビルト建築)を、この展覧会では「インポッシブル・アーキテクチャー」とよんでいる。

藤本壮介『ヘドンハラ・ウォーターフロント・センター』 コンピューター・グラフィックス、2012 年
藤本壮介『ヘドンハラ・ウォーターフロント・センター』 コンピューター・グラフィックス、2012 年

この種の建築はいわば建築家の夢と言っていいだろう。この夢は物理的な制約から自由であるため、そこには建築の真髄や本質がダイレクトに反映されるはずだ。この展覧会はこうした“建築の本質”に目を向けることにより、逆説的に建築の無限の可能性や、豊穣な潜在力を浮き彫りにしようとする画期的な企画。約40人の建築家・美術家による「インポッシブル・アーキテクチャー」が図面、模型、関連資料を通して展示される。

マーク・フォスター・ゲージ『グッゲンハイム・ヘルシンキ美術館』 コンピューター・グラフィックス、2014 年 Image courtesy of Mark Foster Gage Architects
マーク・フォスター・ゲージ『グッゲンハイム・ヘルシンキ美術館』 コンピューター・グラフィックス、2014 年 Image courtesy of Mark Foster Gage Architects

さらにインポッシブル・アーキテクチャーに関するレクチャーや、学芸員によるギャラリートークも開催予定。驚くべきイマジネーションを湛えた“不可能な建築たち”の姿を通して、建築家の果たされなかった夢を見てみてはいかがだろうか。

「インポッシブル・アーキテクチャー ーもうひとつの建築史ー」

会期/2019年2月2日(土)~2019年3月24日(日)
会場/埼玉県立近代美術館
住所/埼玉県さいたま市浦和区常盤9-30-1
開館時間/10:00〜17:30
休館日/月曜
入場料/一般¥1,200、大高生¥960
TEL/048-824-0111
URL/www.pref.spec.ed.jp/momas/?page_id=386

Text : Ryoji Sugawara

Recommended Post

Magazine

July / August 2019 N°128

2019.5.28発売

So Animalistic!

動物たちのいるところ

オンライン書店で購入する