村上虹郎が向けた銃口の先には…中村文則の小説『銃』が映画化 | Numero TOKYO
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村上虹郎が向けた銃口の先には…
中村文則の小説『銃』が映画化

芥川賞作家・中村文則のデビュー小説を、村上虹郎、広瀬アリス、リリー・フランキーらをキャストに迎え、『百円の恋』の武正晴監督と、『ソナチネ』『うなぎ』などのプロデューサー・奥山和由が映画化した『銃』が、11月17日(土)よりテアトル新宿ほかで公開する。

村上虹郎が演じる主人公・西川トオルは、ある雨の日の夜、河原でひとりの男の死体とともに銃を見つけた。それをこっそり自宅アパートに持ち帰り、宝物のように愛するうちに、次第に理性を失っていく……。 いつも通りの日常を過ごすトオル。合コンで出会った女(日南響子)と身体だけの関係を続けながら、大学で知り合ったヨシカワユウコ(広瀬アリス)との距離を縮めていく。ヨシカワユウコとはあえてプラトニックを続け、ゲームのように楽しみたい。家には銃がある。それが彼に自信と余裕を与えるのだった。

警察は、河原の死体を見つけ、死の原因となった銃を探し始める。トオルのアパートの周りにも警官の姿が増えた。しかし、トオルはあえて警官に話しかけてそのスリルを味わい、さらに、銃をバッグの中に入れて外出するようになる。銃を持っているだけで、日常が高揚感のあるものに変わっていく。そしてある時、夜の公園で傷ついた猫を見つけ……。

映画は、モノクロームの映像と、トオルのモノローグで進行する。普通の大学生が、偶然、銃という圧倒的な暴力を手にした。もちろん、それを使えばどうなるかは分かっている。それなのに、どんどん魅了され精神が崩壊していく過程がじっくり描かれ、観客の理性まで揺さぶってくるようだ。トオルは引き金を引いてしまうのか。そして、その銃口はどこに向けられるのか。

トオルを追い詰める刑事をリリー・フランキー、アパートの隣人で子供を虐待する母親に新垣里沙、大学の友人を岡山天音が演じる。純粋さの中に潜む狂気を感じさせる、村上虹郎や広瀬アリスの熱演にも注目だ。

『銃』

監督/武正晴
企画・製作/奥山和由
出演/村上虹郎、広瀬アリス、リリー・フランキーほか
原作/中村文則『銃』(河出書房新社)
URL/thegunmovie.official-movie.com
2018年11月17日(土)よりテアトル新宿ほかでロードショー

©︎吉本興業

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Text: Miho Matsuda

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