建築家・内藤廣が手がけた「とらや 赤坂店」リニューアルオープン
建て替えのために2015年からクローズしていた「とらや 赤坂店」が、10月1日(月)にリニューアルオープン。ギャラリーと製造場、売場、菓寮を備えた店舗は、建築家・内藤廣が設計したモダンな空間に。
「とらや」は、室町時代後期に京都で創業し、その後、京都御所にお菓子を納める「御所御用」を勤めてきた。明治の東京遷都にともない、東京の赤坂に店を構えた。赤坂の中で、何度か移転し、現在の場所になったのは1964年。それから2015年まで51年に渡り営業を続け、東京のランドマーク的な存在になっていた。2015年に建て替えのために一度、クローズ。そして10月1日より新しい「とらや」としてリニューアルオープン。
ガラス張りの自然光を取り込んだ建物の内部は、吉野の檜をふんだんに使った、ミニマルであたたかさを感じる空間に。和菓子や日本文化にちなんだ企画展やイベントが行われる地下一階のギャラリーは、壁全体を職人がひとつずつ檜を切り出し立体的に組み立てた格子状の壁が目をひく。
ギャラリーでの第1回企画展は「とらやの羊羹デザイン展」を開催。菓子のデザインをまとめた「菓子見本帳」から大正7年の見本帳に描かれた約450点の羊羹のデザインや、羊羹づくりの道具や原材料が展示される。
それにしても「羊羹って450点もデザインがあるの?」と思ってしまいそうだが、とらやに代々受け継がれ、その時代によって考案されてきた羊羹のデザインは多彩で、そのままテキスタイルのデザインになりそうなくらい、モダンで洗練されている。 ちなみに、2階の売り場では、羊羹の柄をモチーフにした風呂敷も販売。こちらもぜひチェックを。
その2階の売り場は、正面に久住章氏による黒漆喰と、以前の赤坂店でも使われていた鐶虎(かんとら)がプラチナ箔加工を施して再登場。羊羹や最中の定番商品や赤坂店限定の菓子、雑貨などが販売される。
3階の菓寮では、あんみつ、おしるこなどの甘味や、店内の御用場(製造場)で作りたての焼菓子「残月」、ランチタイムは、湯葉うどんなどのも食事メニューも。テラス席もあるので、赤坂の豊かな緑を眺めながら、甘味を楽しむこともできる。
リニューアルにあたって、建築家の内藤廣氏は「簡素にして高雅」を念頭に設計したという。檜のぬくもりと、季節や時間によって光が作り出す陰影が美しい、新しいとらや赤坂店。ぜひ足を運んでみて。
とらや 赤坂店
オープン/2018年10月1日
時間/売り場(1〜2階)8:30〜19:00(平日)、9:30〜18:00(土日祝)
虎屋菓寮(3階)11:00〜18:30(平日)、11:00〜17:30(土日祝)
ギャラリー(地下1階)10:00〜17:30(イベントによって変更の可能性あり)
定休日/毎月6日(12月をのぞく) ※10月6日は営業
URL/https://www.toraya-group.co.jp/toraya/shops/detail/?id=5
Text:Miho Matsuda