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Culture Art

日本の建築を”感じる”展覧会へ

伝千利休 《待庵》 1581年頃(安土桃山時代)/2018年(原寸再現) 制作:ものつくり大学 展示風景:「建築の日本展:その遺伝子のもたらすもの」森美術館、2018年 撮影:来田 猛 画像提供:森美術館(東京)
伝千利休 《待庵》 1581年頃(安土桃山時代)/2018年(原寸再現) 制作:ものつくり大学 展示風景:「建築の日本展:その遺伝子のもたらすもの」森美術館、2018年 撮影:来田 猛 画像提供:森美術館(東京)

東京・森美術館にて「建築の日本展:その遺伝子のもたらすもの」が開催中。建築学科を卒業し、建築やカルチャーに造詣が深いことで知られるモデル、KIKIが訪れてレポートしてくれた。(「ヌメロ・トウキョウ」2018年7・8月合併号掲載)

北川原 温 《ミラノ国際博覧会2015日本館 木組インフィニティ》 2015年 ミラノ(イタリア) 撮影:大野 繁
北川原 温 《ミラノ国際博覧会2015日本館 木組インフィニティ》 2015年 ミラノ(イタリア) 撮影:大野 繁

五感で感じる日本の建築たち

部屋に入ると、窓の外の風景が目に飛び込んできて、その明るさに一瞬目が霞む。千利休が豊臣秀吉のために建てた茶室《待庵》の原寸大模型が置かれた展示室でのことだ。窓向きに茶室の入口、にじり口が設けられ、その奥には2畳の空間。にじり口を潜り、顔を上げると自然に正面の床の間が目に入る。わずかな明り採りから差し込む光の中では、視覚に頼れず、聴覚や嗅覚が研ぎ澄まされただろう。待庵の図面は見たことがあったけれど、原寸大を前に、これまではない気付きがあった。

安藤忠雄 《水の教会(星野リゾート トマム)》 1988年 北海道 画像提供:星野リゾート トマム
安藤忠雄 《水の教会(星野リゾート トマム)》 1988年 北海道 画像提供:星野リゾート トマム

本展では、400点余り展示されている“建築の日本”が、図面や模型、写真、さらには3Dなど、さまざまな手法で表現され、空間として体感することができる。お客さんには外国人も多い。「いま、世界が日本の建築に注目しています」との見出しがHPにもあり、それだけ日本の建築には学ぶべきことがある、ということだろう。その理由が「建築としての工芸」「共生する自然」など9つに分かれたセクションを順に追っていくと理解できる仕組みになっている。建築に特別興味がなくても、親しみやすい展示がつづく。

杉本博司 《光学硝子舞台(小田原文化財団 江之浦測候所)》 2017年 神奈川 ©小田原文化財団
杉本博司 《光学硝子舞台(小田原文化財団 江之浦測候所)》 2017年 神奈川 ©小田原文化財団

展覧会を観終えたあと、同じチケットで六本木ヒルズ森タワー52階の展望台に入った(美術館は53階)。閉ざされた美術館から東京の街並みを一望する。待庵でも感じたけれど、内から外への空間の繋ぎ方は、日本の建築の特徴のひとつだと改めて実感する。茶事を終えて2畳茶室から外へ出たとき、秀吉にも目の前の見慣れた風景が、煌めいて見えていたかもしれない。

フランク・ロイド・ライト 《帝国ホテル(正面中央部入口)》 1923年 東京 写真提供:帝国ホテル
フランク・ロイド・ライト 《帝国ホテル(正面中央部入口)》 1923年 東京 写真提供:帝国ホテル

六本木ヒルズ・森美術館15周年記念展
「建築の日本展:その遺伝子のもたらすもの」

会場/森美術館
住所/東京都港区六本木6丁目10−1 六本木ヒルズ森タワー53階
会期/2018年4月25日(水)〜9月17日(月)
会期中無休
開館時間/10:00~22:00(最終入館 21:30) ※火曜日のみ17:00まで(最終入館 16:30)
TEL/03-5777-8600(ハローダイヤル)
URL/https://www.mori.art.museum/jp/exhibitions/japaninarchitecture/

Profile

KIKI モデル。東京都出身。武蔵野美術大学造形学部建築学科卒。雑誌をはじめ広告、テレビ、映画などで活躍。エッセイなどの執筆も手がけ、旅や登山をテーマにしたフォトエッセイ『美しい山を旅して』(平凡社)など多数の著書がある。カメラブランドの会報誌に撮りおろしの写真とエッセイを執筆、文芸誌にて書評の連載中。近年では自身の写真展を開催し、芸術祭に作家・審査員として参加するなど多方面で活動。日本テレビ『ゆっくり私時間~my weekend house~』にレギュラー出演中。

Text:Kiki Edit:Sayaka Ito

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