村上隆も嫉妬するロマンチシズム。フリードリッヒ・クナス展@カイカイキキギャラリー
初めて酢豚にパイナップルを入れたのは、一体どこの誰なのだろう。あるいはポテトチップスにチョコレートでも、メロンにプロシュートでもいい。ある種の対立をはらむふたつを組み合わせることで、劇的にそれらが「生まれ変わる」ことがある。では歴史的な風景画と、エロスや風刺、スラングといったものが組み合わさると、どのようなアートが生まれるのか……。ドイツ人アーティストが起こすそんな化学反応を、東京・広尾のカイカイキキギャラリーで現在見ることができる。
フリードリッヒ・クナスは、旧東ドイツ生まれのヴィジュアルアーティスト。絵画からビデオまで幅広いメディアを用いて人生の浮き沈みを描き出す、そんな感情に訴えかける作品が彼の特徴だ。
今回展示される約10点の作品では、ドイツのロマン主義を思わせる風景画に、エロティックなイラストや、皮肉や風刺、スラングを含む短いパッセージが描き込まれる。そこから私たちが受け取るのは、歴史的かつコンテンポラリー、郷愁的かつフューチャリスティック……そんな宙吊りの不思議な感覚。
カイカイキキギャラリーの店主であり、個人的にも彼の作品を多数所持している現代芸術家、村上隆は「つげ義春的なシュールさと、水木しげる的な土着な匂いに、ドイツ的なフレーバーがかかっていて、そして呑気に返って行く……みたいな」と彼の作品を表現している。
私たちとアート作品との対面、それは日常の中で “非日常” に出会う体験だ。そこからは生きる活力、創作意欲など様々なインスピレーションを受けることができるだろう。そんな非日常との出会いを、あなたも体験してみてはいかがだろうか。
フリードリッヒ・クナス個展
「The World Is Beautiful Place (We’re Not Here For Long)」
会期/2016年4月15日(金)〜 5月12日(木)
会場/Kaikai Kiki Gallery 東京都港区元麻布2-3-30 元麻布クレストビル B1F
時間/11:00〜19:00
休廊/日曜・月曜・祝祭日
URL/http://gallery-kaikaikiki.com
Text:Ken Suzuki