Beauty / Post
rms beauty創設者にインタビュー。ブランドの在り方、美と健康について語る
20年以上にわたりメイクアップアーティストとして活躍しているローズ・マリー スウィフト氏。その作品は「ヴォーグ」「ハーパスバザー」「アリュール」「ヌメロ」「マリークレール」「エル」など多くの媒体で紹介され、「ダイアン フォン ファステンバーグ」「カルバン・クライン」、「ラルフローレン」「ルイ・ヴィトン」はじめ数々の広告も手がけている。また、ジゼル・ブンチェン、ミランダ・カー、デミ・ムーア、ソフィア・コッポラなどトップモデルやアーティストのポートフォリオでもメイクを担当。しかし、数年前に心と体に変調をきたしたことを契機に、ナチュラルカラーコスメのブランド『rms beauty』を立ち上げる。“美しくあるためには、身体はもちろん製品も健やかである必要があり、化粧品はできるだけピュアなものが望ましい”という考えのもと、潤いを与えて『肌本来の力を引き出すこと』『肌の健やかさを保つこと』をコンセプトにした製品は、瞬く間にファッション&ビューティ業界で熱烈な支持者を増やした。そんな従来になかったブランドの在り方、自身の美と健康に対する哲学を語ってもらった。
──ブランド誕生の経緯についてより詳しく教えていただけますか?
「ある日突然、心の声が聴こえてきて…なんてね(笑)。実際は、数年前に心にも体にも異変が起こったためです。アレルギー的な症状や、内臓機能においても不調を表す数値が表れていました。血液検査をしたところ、自分の血液にアルミニウム、バリウム、カドミウム、鉛、水銀といった重金属が高いレベルで、そのほかさまざまな化学物質も含まれていることがわかりました。そしてそれらの重金属の一部が化粧品からきていることに、驚愕しました。もちろん、食品添加物も影響していると思ったので食事については自然なかたちで酵素や抗酸化成分が摂れるローフード中心に切り替え、いわゆる処方箋薬を使う以外のあらゆる治療を試みました。ファスティング、腸内洗浄、キレーション(体内の重金属を排出する点滴療法)、これらすべてが作用し、デトックスが少し進むと、体調不良も少しずつ改善する、という感じでした」
──カラーコスメにローココナッツオイルが配合されているのは画期的ですよね。
「ローフーディストにとって、どんなオイルを摂取するかはとても重要です。それでオイルの勉強をはじめた際に、ローのココナッツオイルが抗菌作用、 抗酸化作用を持ち、体に良い酵素を含み、腸内をキレイにするなど、優れた働きをしてくれるオイルであることを知りました。ラウリン酸という母乳に含まれる成分も含んでいて、これは植物の中でもココナッツオイルだけです。自分のブランドを立ち上げる前のコスメ市場は、肌にダメージを与えず保護できるものといえばワセリンなどが主流だったので、『こういう素材をコスメに使ったら、肌にやさしい上に栄養も与えてくれるし、より良いのではないかしら』と思ったのです」
──一番最初に誕生したアイテムはどんなアイテムだったのでしょう?
「現在のアイポリッシュ マグネティック(当初の名前はマグネティックアイシャドウ)です。いまでもベストセラーのアイテムですが、スルスルとなじみ、その名の通り繊細な光感で目のまわりを磨いてくれるような仕上がりが特徴です。rms beautyは、化学的な成分を使わずに『その人のありのままの姿を輝かせる』というモットーでデビューしたので、ナチュラルな成分で洗練された質感を実現するため、素材選びにこだわり、処方に苦心しました。グリッターのようにギラッとのっかる光ではなく、肌に溶け込むようなツヤっぽい光を実現できるかどうかは、使用するミネラルやココナッツオイル、シアバターなどのグレードにかかっています。ひと口にミネラルといっても、キメの粗さ、輝きの純度、粗悪なものから上質なものまで、本当にさまざま。シアバターなどにしても、品質によっては凝固してしまい、理想的なテクスチャーが得られないことがあります」