1970年代初頭より、アジア人初のトップモデルとして一世を風靡するとともに、日本人女性の新たな美を世界に提示した山口小夜子。そんな彼女をテーマにした展覧会「山口小夜子 未来を着る人」展が、清澄白河・東京都現代美術館にて開催されている。
服を身に付け、靴を履き、鞄を手に持ち、街へ出ていくこと。“着る” ということは、私たちにとって日常の営みの一つ、当たり前の行為であるはずだ。しかし、小夜子にとってその意味は違った。彼女にとって “着ること” とは “ものを身に付けること” だけではなかった。自らを「ウェアリスト(着る人)」と称し、あらゆるものを着ようと試みることで “着ること” を “パフォーマンス” にまで高めた人物。 生涯を通じて “表現者” であり続けたトップモデルが山口小夜子なのだ。
宇川直宏、山川冬樹、生西康典、掛川康典、エキソニモ…… 生前の彼女をよく知る表現者たちが捧げる新作インスタレーション。雑誌や写真、スクラップブックなど、彼女の伝説を辿るのに不可欠な数々のアーカイブ。入り組んだ二つの要素を通して、小夜子の生涯を振り返りつつ、常に時代の先端を走り続けたその遺伝子を未来へと渡していく展覧会。
小夜子の創造性の原点はどこにあるのだろうか。その美意識はどこから来るのだろうか。散りばめられた記憶の断片に模(かたど)られるのは、 “SAYOKO” という名の小宇宙。この機会にあなたも山口小夜子の宇宙観に触れてみてはいかが?
山口小夜子 未来を着る人
会期/2015年4月11日(土)〜6月28日(日)
会場/東京都現代美術館
時間/10:00〜18:00(最終入場17:30)
休館日/月曜日(5月4日は開館)、5月7日
TEL/03-5245-4111
WEB/www.mot-art-museum.jp
Culture / Post
伝説の日本人トップモデルが都現美で復活!?「山口小夜子 未来を着る人」展
「三宅一生『馬の手綱』を着た小夜子」 撮影:横須賀功光 1975年
Text: Kahlua Tsunoda