名和晃平『PixCell-Lion』2015(Photo:表恒匡|SANDWICH)
日本が誇る現代アーティスト52名。彼らはその目で何を見て、その作品に何を映し出しているのか。日本有数のアートコレクターとして知られる精神科医・高橋龍太郎のそうそうたるコレクションが並ぶ展覧会「高橋コレクション展 ミラー・ニューロン」が東京オペラシティ アートギャラリーにて開催されている。
ミラー・ニューロン。他者の行動を自分もしているかのように反応する神経細胞。ヒトはこの細胞がもたらす模倣行動により他者を理解すると考えられている。ギリシャ哲学の祖アリストテレスが語るように、 “模倣” は人間の本質。どんなに天才であったとしても無から有を創造することが不可能である以上、ヒトにとって “模倣” はすべての根源なのだ。
1980年代以降、シミュレーショニズムを西欧から輸入した日本。しかしながらこの国には千年にも遡る “模倣” の歴史がすでにあった。本歌取り、見立て、やつし…… 美しさを後世に紡ぐ方法としての “模倣” は、日本の文化の本質だと言えるかもしれない。
草間彌生、舟越桂、名和晃平、Chim↑Pomなど、日本を代表する現代アーティスト52人の、新作を含む約140点が出品されている本展覧会。それぞれの作品が、作家独自の眼差しを映す鏡であると言えるだろう。人間の本質としての鏡、日本の美意識としての鏡…… ここに集められた鏡は、あなたの目に何を映すのだろう? そして、あなたの目はそこに何を見いだすのだろうか?
高橋コレクション展 ミラー・ニューロン
会期/2015年4月18日(土)〜 6月28日(日)
会場/東京オペラシティ アートギャラリー
時間/11:00〜19:00(金・土は20:00まで/最終入場は閉館30分前まで)
休館日/月曜日(5月4日は開館)
TEL/03-5777-8600
WEB/www.operacity.jp/ag/exh175/
Text: Kahlua Tsunoda