オーガニックコスメ急成長の理由 ニールズヤード創設者にインタビュー | Numero TOKYO - Part 2
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オーガニックコスメ急成長の理由 ニールズヤード創設者にインタビュー

──環境に配慮した設備とは、具体的にどんな設備だったのでしょうか。
「1981年にはじめたニールズヤード アポセカリー(1983年よりニールズヤード レメディーズに社名変更)が創業となりますが、店舗の広さはほんの2坪ほど。そこに地元のシアターからの廃材を使ってデザイナーだった夫が商品棚を製作し、大理石の平板は店内カウンターに変身しました(写真上)。ドライハーブを入れるジャーは昔に使われていたガラスのキャンディジャーを入念に洗って再利用しました。ニールズヤード レメディーズ製品を象徴している要素のひとつであるブルーのガラスの化粧瓶は、当初から品質の保持と同時にリサイクル可能である点から採用し、ラベルも環境に負荷のかかりにくいアセテートのシールを使いました。この第一号店は、現在もロンドン・コヴェントガーデンのニールズヤードにありますよ」
──現在に至るまでのオーガニックコスメの成長は、どのようなことがきっかけとなって起こってきたと思われますか。
「ニールズヤードは、英国で初めて認定されたオーガニック ヘルス&ビューティ企業であり、初めてオーガニック認定を受けた精油を販売した小売店であり、初めて*ソイル・アソシエーション(英国土壌協会)認定のコスメを製造しました。認定制度が生まれてオーガニックの基準がはっきりしたこと、それからナチュラルで倫理的な製品へのニーズが出てきたことにより、不足していたオーガニック栽培をする生産者が増えたことは、オーガニックコスメの成長を加速させたと思います」
*ソイル・アソシエーション(英国土壌協会)「健康な土壌が健康な植物を育み、それが健康な体を生んでいく」という基本理念をもとに1946年に発足したイギリスのオーガニック認証機関。
──多くの企業、小売店、一般の人もオーガニックな素材や成分を手に入れことができるようになりましたよね。
「そうですね。ただ、規則を作ってそれにのっとれば、あるいは絶対的な数値をマークすれば、オーガニックとして良いものか、というと違うと思うのです。大きな会社が全体の1%にオーガニック成分を使っていても、小さな会社が全体の99%にオーガニック成分を使っていても、いずれもオーガニックな製品づくりに取り組んでいる、といえてしまうようになりました。それが自分の体にとって良いものかどうかは、使ってみないことにはわからない。現在は、オーガニック=体に優しいというだけではなく、消費者が自分にとって確かな効果効能を求めていくことで、オーガニックコスメが成長していく時期に入っているのではないかと思います」
──認証マークだけではない、良質なオーガニックコスメを見極めるポイントは?
「やはりその会社が持っている倫理観、生産システムを含めて見つめてみることが大切ではないでしょうか。例えば、できるだけ素材や商品の運搬に関してCO2の排出量を抑えるような企業努力をしているか、環境への負荷が少ない地産地消の考え方でもの作りをしているか、といったことです。ニールズヤードは、英国初のカーボンニュートラル企業(生産や活動を行う場合に排出されるCO2量と、植物が成長する過程で光合成を通じて吸収されるCO2量が同じ量である状態)として認定された小売店でもあります。グリーン先進国である英国において、サスティナブルでオーガニックな素材の収穫を守り、フェアトレードを選択してきました。すべての繋がりを考えて生産されていれば、それは本物のオーガニック(有機的)なコスメといえるのではないでしょうか」
ニールズヤード
ニールズヤード
──ニールズヤード レメディーズのロゴは、まさにそれを象徴しているという…。
「そうなのです。このロゴは1998年から現在までずっと使われています。目に見えている木の幹や葉の広がりと、土の下に隠れて見えていない根っこの広がりが、同じ大きさになっています。外見の美しさは内面(精神や身体)の健康になるという考えと、もうひとつは商品を販売することと、生産における環境への配慮が釣り合っていることを表しています。ここ数年で、遺伝子組み換え作物についても世界的に認識が広がってきましたが、ニールズヤードではこのロゴを使用するもっと前、15、16年前からGMOフリー(遺伝子組換え作物の不使用)で商品を生産しています」
Interview & Text:Kumiko Ishizuka

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