東京に“女王”降臨! その前に。『ザハ・ハディド』展
なぜだ。どうしてこうなった……!?
じつはザハによる設計案は、新国立競技場の国際デザイン・コンクールの募集段階から、早くも注目を集めていた。
それが決定後になってようやく、建築界隈や地域住民に限らず、自称評論家からパクリ記事量産型のバイラルメディア、炎上にたかる “ネットイナゴ” までもが熱い視線を送る “ネタ” に昇格した感がある。
しかし、たったひとつの “建築” に対して “世間一般” の目がこれほどまでに集中し、誰もが話題にする機会がこれまでに果たしてあっただろうか。
建築物が建ち並ぶ都市に自らも日々、暮らしていながら、その環境をどうすべきかについては “お上” の判断としてお預け状態。
そうした私たちの意識こそが、この問題の最大の原因だとしたら、ザハが突きつけているものは断じて “ネタ” などで終わる話ではなく、ほかでもないこの国の土壌に根深く横たわる “私たちの問題” に他ならないのではないだろうか……!?
(感想文おわり)
アンビルト時代のドローイングから、札幌で手がけたレストラン内装をはじめとする作品資料、驚きに満ちた代表作の模型や映像、アクセサリーや家具などのプロダクト作品、国立競技場の応募案から最新の計画変更案に至るまで、ザハ・ハディドの軌跡と思想に触れる展覧会。
果たして彼女は何者なのか。新国立競技場の経緯とは。
東京の “ど真ん中” に “私たちの問題” を突きつけるザハ。その異才ぶりに、震撼せよ。
※『Numéro TOKYO』2014年12月号 掲載記事を加筆転載
『ザハ・ハディド』
期間/2014年10月18日(土)〜12月23日(火・祝)
場所/東京オペラシティ アートギャラリー
場所/東京都新宿区西新宿3-20-2
UEL/http://www.operacity.jp/ag/
Text:Keita Fukasawa