東京に“女王”降臨! その前に。『ザハ・ハディド』展
時は来たり。ザハよ羽ばたけ!
かつての「これって建築なの!?」という評価は、まだ見ぬ建築の可能性を期待する声へと一変した。
こうした熱狂的な声(「けしからん! いいぞもっとやれ」)に応えるように、カッティングエッジ極まる建築プランをバンバン打ち出し、続々と実現。
まさに破竹の勢いで2004年、“建築界のノーベル賞” と呼ばれる「プリツカー賞」を、女性として初めて受賞。
実作に恵まれなかった “アンビルトの女王” が施主を探して3千里、名実ともに現代建築界の “女王” へと、ついに即位を果たしたのだ……!
その彼女が、2020年 東京オリンピックの新国立競技場 国際デザイン・コンクールに勝利した──。
「すわ、東京にザハ建築が!????」
“女王” の名を知る東京民、建築だけでなくファッションやアート系クラスタまでもが色めき立った瞬間だった。2012年11月のことである。
……しかし。
あまりにメガロマニアックな物体が豊かな緑で知られる神宮外苑エリアに建立されることで都市景観が破壊される、柱がなく巨大なアーチを支えるというアクロバティックすぎる構造で予算のはるか斜め上をいく経費が必要、そもそも審査委員会はそのあたりをのどごしの爽快感だけでなくちゃんとよく噛んで吟味して彼女を選んだのか? などなど、建築界の内側といわず外側といわずあちこちから続々と異論が噴出し、超巨大な炎上案件として、日本はおろか世界中の好事家達の注目を集めることになってしまった。
Text:Keita Fukasawa