“異能者”7人が東京に集結!『イメージメーカー展』
特徴的な長身を、さらに細長く引き伸ばすかのような角刈り風ヘアスタイルに、パワフルさを思わせる力強いメイクでこちらを見つめる黒人女性の肖像。これって誰だっけ……!?
と、しばらく考え込んだ後、
「あああああっ!! グレイス・ジョーンズだっ!!!! 『Slave to the rhythm』!!!!!!!
あのレディー・ガガやリアーナが衣装をパクったという噂で数年前にも話題を呼んだよねえ〜!」
と、80年代に一世を風靡したモデル/ミュージシャンの名前とともに、塩辛くも甘酸っぱい懐かしさがとめどなくほとばしった貴殿(あなた)。
……ようこそここへ。でも、今回は80年代の話題ではありません。
そんな年代しばりの話をするよりも、もっと自由で、時代を越えた可能性を放ち続ける、“イメージメーカー”たちの世界へ、いざご案内とまいりましょう。
これらの作品を手がけたのは、アートディレクター、グラフィックデザイナー、イラストレーター、衣装デザイナー、フォトグラファー、映像作家……といった肩書きや分野を超えて活動し、希代の“イメージメーカー”として知られるジャン=ポール・グード。
私生活ではパートナーでもあったグレイス・ジョーンズのアルバムジャケットや数々のファッション写真のほか、雑誌『エスクァイア』のアートディレクションに始まり、シャネルのCMやパリの有名デパートの広告、フランス革命200周年祭の演出など、奇抜な印象を放ちながら見る者の意識に強烈な印象を刻み込むヴィジュアルワークの数々で、世界中のクリエイターたちに多大な影響を及ぼしてきた。
Text:Keita Fukasawa