チリから日本へ。銀座メゾンエルメス『クローゼットとマットレス』展 | Numero TOKYO - Part 3
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チリから日本へ。銀座メゾンエルメス『クローゼットとマットレス』展

スミルハン_5
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展示風景より、マットレスを題材にしたインスタレーション © Nacása & Partners Inc. / Courtesy of Fondation d’entreprise Hermès
一方、もうひとつの空間は、まるごとマットレスのために捧げられていた。 肉厚で赤々と、ボリューミーなまでに肥大化したマットレスの塊がいくつも吊り下げられ、無数に生え出たロープを床まで垂らして、異形の巨神像めいた重厚な存在感を滲ませている。 本来の用途から考えれば受難ともいえる境遇を無残にさらし、見る者の足を止めるその姿は、大型冷蔵庫に吊された肉塊を想起させるほどに、剥き出しの印象を放っていた。
 
スミルハン_6
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展示風景より、マットレスを題材にしたインスタレーション © Nacása & Partners Inc. / Courtesy of Fondation d’entreprise Hermès   スミルハン・ラディック: 「マットレスはクローゼット同様、その人の人間性を反映する存在です。 昔のチリでは、旅にも自分のマットレスを持っていくほど、マットレスは一生かけて使うものでした。さらに、自分を見つめる、考えるという意味で『マットレスと会話する』という言葉があるくらい、それは人に最も近い家具として扱われてきたのです。 今回、吊り下げられたマットレスの姿は、人間の重みや脂を吸って形を変えていく無防備なもろさ、それを使っていた人の痕跡や記憶を象徴しています。 つまりこの作品は、そうした人々のミクロな記憶を内包した建築の試みでもあるのです」   ▶ 海を隔てた大災厄の記憶と、シンクロニシティ体験 ▶ 次のページへ

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