チリから日本へ。銀座メゾンエルメス『クローゼットとマットレス』展 | Numero TOKYO
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チリから日本へ。銀座メゾンエルメス『クローゼットとマットレス』展

スミルハン_p1-1
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『Armario Drawing』(2013年) © Smiljan Radic
銀座のメゾンエルメスにて、南米チリを代表する建築家+彫刻家のインスタレーションがスタートした。題して『クローゼットとマットレス』展。 いうまでもないが、「クローゼット」=戸棚、押し入れ。「マットレス」=敷き布団の下やベッドなどに用いる厚い敷物。(大辞泉より) しかし……メゾンエルメスの8階に位置するフォーラムといえば、現代アート&現代建築界を代表する才能たちが、その唯一無二の展示空間と響き合い、めくるめく大輪の花を咲かせてきた栄光ある場所。当たり前だが、単に2種類の家具を並べるだけに留まらない、深遠なるメタファーが込められた展示となることは間違いない。 考えるな、感じろ……。そう己に言い聞かせつつ、スミルハン・ラディックとマルセラ・コレアの来日記者会見へと凸撃した。
 
スミルハン_2
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会場にて、スミルハン・ラディック(左)とマルセラ・コレア(右) © Nacása & Partners Inc. / Courtesy of Fondation d’entreprise Hermès   繰り返しになるが、今回展示を務める2人はそれぞれ、南米チリを代表する建築家と彫刻家。 じつは彼らは、ここ日本の建築&アート界とも親密なつながりを築いてきた存在だった。   話は2010年にさかのぼる。舞台は、建築界で最も権威あるイベントと誉れ高き、第12回ヴェネツィア・ビエンナーレ国際建築展。日本人として、そして女性として初めて妹島和世が同展の総合ディレクターを務めたことでも話題となったその会場に、彼らの名前があった。 躍進目覚ましいチリ現代建築界の旗手・スミルハン・ラディックと、彫刻家のマルセラ・コレア。『魚に隠れた少年』と題して花崗岩の内部をくりぬいたその作品は、建築界とアート界の空隙を突くかの如く、見る者の建築概念を問うインパクトで評価を集めた。 それ以降、東京、今治、仙台、広島と、各地の美術館にスミルハン・ラディックの作品が展示されるなど、彼らの名はここ日本でも知られるところとなっていった。   ▶ なぜクローゼットとマットレスなのか? 来日中の作家に凸撃! ▶ 次のページへ

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