“あまさん”も絶ッ叫のド迫力!? 『アンドレアス・グルスキー展』 | Numero TOKYO - Part 3
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“あまさん”も絶ッ叫のド迫力!? 『アンドレアス・グルスキー展』

“あまさん”も絶ッ叫のド迫力!? 『アンドレアス・グルスキー展』
“あまさん”も絶ッ叫のド迫力!? 『アンドレアス・グルスキー展』

『ピョンヤンⅠ』(2007年)
© ANDREAS GURSKY / JASPAR, 2013 Courtesy SPRÜTH MAGERS BERLIN LONDON ※作品画像の転載・コピーを禁止します。
 ……が、この際、そんなとってつけたような知識などはどうでもよろしい。
それら自分ひとりの視覚では見ることのできるはずもない、巨視感の極致ともいうべき圧倒的なスケールを前にして、見る者の内側でいったい何が起きるのか。
 
 デジタル技術を駆使して撮影・加工されたグローバル社会の象徴的風景が、一辺数メートルもの超高精細印刷となって眼前にそそり立つ。人間が自らのために作り出したはずのメガロマニアックな景観と、そこにうずもれていく人間個人との衝撃的な対比が、無限に偏在する視点によって冷徹なまでにフラットで等価に写し出される。
 そこに否応なく立ち現れる“現代の姿”を、果たしてあなたはどのように受け止めるのだろうか?
 
“あまさん”も絶ッ叫のド迫力!? 『アンドレアス・グルスキー展』
“あまさん”も絶ッ叫のド迫力!? 『アンドレアス・グルスキー展』

『バーレーン』(2005年)
© ANDREAS GURSKY / JASPAR, 2013 Courtesy SPRÜTH MAGERS BERLIN LONDON ※作品画像の転載・コピーを禁止します。
 それを海女さんに例えるなら、どうだろう。
 “無数の目”を持つ格子状の護符を身に着けて、海の底へと潜っていく彼女たちが、海の底で見ているもの。
 それはもちろんウニ……だとしても、見える範囲は水の中で息が続く限り、自分の目で捉えられる角度だけ。だからこそ、彼女たちは幾度となく地上と海の中とを往還し続ける。
 しかしもし何かのきっかけで、自分の足の下に広がる海の底のすべてを鮮明に、一目で見ることができたなら。しかも、その奈落の底を、無数のウニがびっしり埋め尽くしていたとしたら。
 
 その異常な眺めを前に絶ッ叫し、これこそ”魔”の仕業と断じて、恐れおののきながら我関せずを決め込むのか。それとも、その魔力の根源たる心理と向き合い、自ら新しい展望を切り拓くのか。
 つまりこれは、この眺めを前にした貴女(あなた)自身の“視野”に対する問いかけなのだ。

  
『アンドレアス・グルスキー展』
期間/開催中〜9月16日(月・祝)
場所/国立新美術館 企画展示室1E 東京都港区六本木7-22-2
  
information
03-5777-8600(ハローダイヤル)
HP/http://gursky.jp

 

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深沢慶太(ふかさわ・けいた)
 
フリー編集者/ライター/『Numéro TOKYO』コントリビューティング・エディター。『STUDIO VOICE』編集部を経てフリーに。『Numéro TOKYO』創刊より編集に参加。雑誌や書籍、Webマガジンなどの編集・執筆、企業企画のコピーライティングやブランディングにも携わる。編集を手がけた書籍に、田名網敬一、篠原有司男ほかアーティストの作品集や、編集者9人のインタビュー集『記憶に残るブック&マガジン』(BNN新社)など。

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