ブランドショップの“香り”の仕掛人! クリストフ・ラウダミエル氏 来日インタビュー | Numero TOKYO - Part 2
Culture / Lifestyle

ブランドショップの“香り”の仕掛人! クリストフ・ラウダミエル氏 来日インタビュー

──今まで手掛けた店舗はいかがでしたか?

「アバクロンビー&フィッチの場合、彼らはブランドの雰囲気を大事にしていました。セクシーさ、そしてウッディな香り―—ブランド自体、木々と川に囲まれたNYの北部生まれですからね。一方、ラコステはもっとプロダクトイメージに寄り添いました。主にコットンを使用し、テニスなどのスポーツウエアを手掛けているというところがポイントです。アルマーニは、エキゾチックウッドの香りを好んでいました。グリーンよりもウォーターよりも、もっとミステリアスなウッディな香り。インテリアにもダークウッドが多く使われています。シンプルだけれどラグジュアリー、そのイメージで香料も厳選した2〜3つだけを使用して、シンプルな調合にしました」

──同じブランドでも店舗に寄って香りは異なるのですか?

「今はブランディングという意味で、同じ香りを世界中で使用していることが多いです。でも特別な店舗においては、インテリアなどのビジュアルデザインとともに働くことがあります。目に見えない香りもデザインのひとつの要素なんです。“ファクタルデザイン”という、ライティングなど、形のないデコレートのスペシャルチームです。香りは工事の必要もないですし、すぐに試せて違うと思えばすぐに変えられます。そのリスクの低さもメリットのひとつですね」

──ほかはどんな場所の香りの演出をされているのですか?

「NYのフェラーリストア、香港や韓国などのWホテル、アメリカのblissスパ、ミラノのヴァージンフィットネスなどです。エクササイズの効果を高めてくれる香りというのがあるんですよ。ほかにも効果的に香りを使用している場はたくさんあります。例えば、医療施設。電気機器の多い場では、より人間らしい自然の香りをさせるようにしていて、歯科医院では、ラベンダーとオレンジの香りを調合しています。また医療機器のMRIはとても大きな音がして怖いけれど、香りで恐怖を軽減することができます。子供の場合は、キャンディの香りをさせるだけでその効果は実証されています。香りが楽しい感覚や嬉しい記憶を呼び起こすことができるからです」

──アーティストとしても活躍されていますね。どのように香りをアートとして表現しているのでしょうか?

「NYのDillon Galleryでのエキシビションでは、3つのテントの中に香りを展示しました。テントの中には、ビジュアルも説明もありません。絵画のタイトルと同じようにテーマを部屋の外に貼りました。ひとつ目は「The Last Virgin」。ホイップクリームと蘭の花を連想させる甘い香りです。ふたつ目は「Fear」。これは第二次世界大戦時の地下シェルターを訪れたときに、インスピレーションを受けました。濡れた石、墓、台風の前の匂い、金属、電気...そんなイメージです。そして三つ目は「The Banana and the monkey」。ロバート・メイプルソープの花の絵から連想したチューリップやオーキッド、バナナの木の後ろから動物の気配を感じるような香りです。香りのアートはいまやっと認識され始めたばかりで、まだ人々は慣れていませんが、非常に感覚的でアートに適した分野だと思います」

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