底抜けの演劇体力が操る群像劇『今、出来る、精一杯。』 | Numero TOKYO
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底抜けの演劇体力が操る群像劇『今、出来る、精一杯。』

根本宗子は底抜けの演劇体力を持つ演劇人らしい。作・演出・出演する自分の劇団 月刊「根本宗子」で本当に5ヶ月連続で公演する、という荒業をやってのけた過去がある。毎月稽古して毎月上演する、というのは歌舞伎の上演スタイルである。歌舞伎役者がそれをできるのは、子どもの頃から家業の歌舞伎の演目を「お稽古」と称して何回も何回も繰り返してきたからで、現代劇で書いて、演出し、出演しながらそんなことができる人間は、ほとんどいないだろう。根本は、派生ユニットなども含めると10年で40作を手掛けてきたというから、その体力には舌を巻くばかりなのだ。

さて、そんな根本が主宰する月刊「根本宗子」の旗揚げ10周年フィナーレを飾るのが、12月に上演される月刊「根本宗子」第 17 号『今、出来る、精一杯。』 だ。ここで描かれるのはスーパーマーケットで働く人々の物語。頼りない店長、お局の店員、八方美人のバイトリーダー、正義感の強い若者、どもりで暗い男性店員などが、お互いに折り合いをつけながら働いている職場に、仕事の続かない男(ほぼヒモ)安藤が加わる、という物語。それぞれの正しさのために、他人の理解が得られなくても、みんな、自分のやり方で生きていく様子を描いていく。

今回は、一夫多妻制アイドルユニット『清 竜人 25』(2017年惜しくも解散)を組むなどユニークな活動を展開する清 竜人が、俳優として演劇作品に初参加。女性に依存しながら生きる男「安藤」を演じる。この「安藤」を受け入れて生きていく同棲相手の「はな」には坂井真紀。清の一夫多妻制ユニットの経験がどのように生かされるのか、目が離せないところだ。さらに、清は音楽も担当。演奏者も加わり、全編生演奏で上演する。他にも、元乃木坂46の伊藤万理華、水橋研二、池津祥子、春名風花などが出演する。作品を音楽劇に変え、さらにこれだけの多彩な出演者をどう、まとめていくというのか。根本宗子の体力のなせる技を楽しみにしたい。

舞台 月刊「根本宗子」第 17 号『今、出来る、精一杯。』

作・演出/根本宗子
音 楽/清 竜人
出 演/清 竜人、坂井真紀
伊藤万理華、瑛蓮、内田 慈、今井隆文
川面千晶、山中志歩、春名風花
小日向星一、根本宗子
riko、天野真希、田口紗亜未
水橋研二、池津祥子

公演日程/2019年12月13日(金)~19日(木)
会場/新国立劇場 中劇場
住所/東京都渋谷区本町1丁目1番1号

チケットの詳細は公式サイトから
http://www.village-inc.jp/imadekiru/

お問い合わせTEL/
(チケットについて)サンライズプロモーション東京 0570-00-3337
(公演について) ヴィレッヂ 03-5361-3027(平日 11:00~19:00)

Text: Reiko Nakamura

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