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命を想う。「宮島達男 クロニクル 1995−2020」@千葉市美術館

宮島達男《地の天》1996年 千葉市美術館蔵  Photo by Nobutada Omote 
宮島達男《地の天》1996年 千葉市美術館蔵  Photo by Nobutada Omote 

千葉市美術館で開催中の「宮島達男 クロニクル 1995−2020」展を、美術ジャーナリストで編集者の鈴木芳雄がレポートする。(『ヌメロ・トウキョウ(Numero TOKYO)』2020年12月号掲載)

展示風景 Photo by Nobutada Omote
展示風景 Photo by Nobutada Omote

光り変化する数字は命の輝き

国内外に多くのファンを持つアーティスト宮島達男。1980年代から、「それは変化し続ける」「それはあらゆるものと関係を結ぶ」「それは永遠に続く」という3つのコンセプトを立て、シンプルな数字を使いながら、人の命の輝きを想像させる作品を生み出してきた。これまでの集大成ともいえる展覧会が千葉市美術館で開催されている。

もともとは時刻やさまざまな変化していく数値、たとえば気温や湿度、あるいは計算の結果や株式市況などを表示する発光ダイオード(LED)。1ユニットは横3本、縦4本の7つの線でできているので「7セグ」と呼ばれ、0から9までの数字を表す。

宮島達男《Innumerable Life/ Buddha MMD-03》(部分)2019年 Courtesy of SCAI THE BATHHOUSE Photo by Nobutada Omote
宮島達男《Innumerable Life/ Buddha MMD-03》(部分)2019年 Courtesy of SCAI THE BATHHOUSE Photo by Nobutada Omote

規則に従って動くだけの無機質な数字。しかしこれが、言語を超えて、すべての人間にとって普遍のテーマである、生きることと死ぬこと、各人それぞれに生きていること、生まれる人がいて人類は続いていくことを示す。数字が変化していくことに、自分や他人が成長、変化していくことを重ね合わせられるからだ。常に変動する数字だが、0だけは表示されない。それは死を連想させる。メメント・モリ(死を想え)。しばしの沈黙と静謐があり、再び数字は点灯し、新しい命の予感。

宮島達男《Counter Skin on Faces》2019/2020年 Courtesy of Akio Nagasawa Gallery Photo by Nobutada Omote
宮島達男《Counter Skin on Faces》2019/2020年 Courtesy of Akio Nagasawa Gallery Photo by Nobutada Omote

展覧会ではLEDを使った作品のほかにも、地球上の地域や人種、宗教を超えて生きることを表現したパフォーマンス作品の映像、さらに長年、宮島が取り組んでいる、長崎で被爆した柿の木2世を各地に植樹する「時の蘇生・柿の木プロジェクト」も紹介されている。

展示風景 Photo by Nobutada Omote
展示風景 Photo by Nobutada Omote

千葉市美術館拡張リニューアルオープン・開館25周年記念

「宮島達男 クロニクル 1995−2020」

会期/〜2020年12月13日(日)
会場/千葉市美術館
住所/千葉市中央区中央3-10-8
開館時間/10:00〜18:00 (金・土曜日は、20:00まで) ※入場受付は閉館の30分前まで
休館日/12月7日(月)
TEL/043-221-2311
URL/ccma-net.jp

※掲載情報は11月20日時点のものです。
開館日や時間など最新情報は公式サイトをチェックしてください。

Text:Yoshio Suzuki Edit:Sayaka Ito

Profile

鈴木 芳雄Yoshio Suzuki 美術ジャーナリスト、編集者。元『ブルータス』副編集長。国内外の美術展を取材、古典から現代美術まで平易に解説する。共編著に『カルティエ、時の結晶』『村上隆のスーパーフラット・コレクション』など。明治学院大学・愛知県立芸術大学非常勤講師。 Photo:Yuji Ono

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