アラーキーの見つめる “死” そして “生”。写真家・荒木経惟の個展に注目。 | Numero TOKYO
Culture / Post

アラーキーの見つめる “死” そして “生”。写真家・荒木経惟の個展に注目。

© Nobuyoshi Araki / Courtesy of Taka Ishii Gallery Photography / Film, Tokyo

 
 
「今は、往生から、向こうの空側から世界を見てる。だから鏡写しなんだよ。」− 荒木経惟
人間を取り巻く “死” そして “生”。タカ・イシイギャラリー フォトグラフィー/フィルム(六本木)にて写真家・荒木経惟の個展が開催されている。
 
今年の春から撮影を続けている6×7ポジフィルムによるカラー写真、日付入りモノクローム写真。そこには、過ぎていく日々の出来事と、荒木の生と死を想う気持ちが日記のように綴られる。
齢(よわい)75。前立腺癌の発症と摘出、愛猫チロの死、網膜中心動脈閉塞症と、それに伴う右眼の失明…… 生きているものならば誰もが迎えることになる “死” というイメージに、たびたび直面することとなった近年の荒木。しかし彼は、写真に対しての想いを変えることなく、以前と変わらぬアグレッシブさを持って撮影を続ける。
“死=往生” を意識するたびに、悲しみや苦しみ、感じるすべての感情を、写真を撮るエネルギーへと変換。 “向こう側” から写した世界観、鏡写しのように日常の風景を反転させたその作品群に、 “死”から “生” へと向かう荒木経惟の魂を感じ取ることができるだろう。
 
荒木経惟個展
会期/2015年5月25日(月)〜 6月20日(土)
会場/タカ・イシイギャラリー フォトグラフィー/フィルム 東京都港区六本木5-17-1 2F
時間/11:00〜19:00
休廊/日・月・祝日
TEL/03-5575-5004
WEB/www.takaishiigallery.com
 

Text: Kahlua Tsunoda

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