絶賛の嵐! カリフォルニアの3姉妹、ハイムの「Now I’m In It」 | Numero TOKYO
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絶賛の嵐! カリフォルニアの3姉妹、ハイムの「Now I’m In It」

最新リリースの中から、ヌメロ・トウキョウおすすめの音楽をピックアップ。今回は、Haim(ハイム)の「Now I’m In It(ナウ・アイム・イン・イット)」をレビュー。

ポジティブなスイッチを押し上げる、三姉妹の軽快でカジュアルなポップセンス

カリフォルニアの三人姉妹によるバンド、ハイムが絶好調だ。7月にリリースしたシングル「Summer Girl」に続き、10月にリリースした楽曲「Now I’m In It」にも絶賛の嵐が巻き起こっている。今回も「Summer Girl」と同様、チャーリーXCXの作品なども手がける敏腕プロデューサーのアリエル・リヒトシェイドと元ヴァンパイア・ウィークエンドのロスタム・バトマングリがプロデュースした楽曲で、ポップの王道を行く潔さと、肩の力が抜けたカジュアルさのバランスがとにかく気持ちが良い。キャッチーなメロディラインにコーラスやリバーブがかかったヴォーカルが80年代風の昔懐かしさを醸しつつも、規則的なシンセのビートに歯切れの良いクラップやコンガ、スネアなどの打楽器が軽快に絡んでいき、楽曲に弾みと風通しのよさをもたらしているのが面白い。バラエティ豊かな打楽器のサウンドを組み合わせて多幸感を演出する手法にはヴァンパイア・ウィークエンドが頭をかすめる瞬間も確かにあり、まさにアリエルとロスタムの本領発揮と言える1曲だ。

ソングライターのダニエル・ハイムいわく、この曲は自身の決意について歌ったものなのだそう。「入れ込んだからには引き返せない」というリリックには頑なな強さも感じさせるものの、無駄な力みのないリラックスしたヴォーカルが、自然と「本気になったのならば、とことんやり切ろう」という聴き手のポジティブなスイッチを入れてくれる。ポール・トーマス・アンダーソン監督による、映画のワンシーンのようなストーリー仕立てのMVも必見。

そして今月は続けざまに新曲「Hallelujah」もリリースし、ますます勢いの止まらない彼女たち。ニューアルバムのリリースにも期待が高まるばかりだ。


Haim 「Now I’m In It」(Polydor/ユニバーサル ミュージック合同会社)

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Profile

井草七海Nami Igusa 東京都出身、ライター。主に音楽関連のコラムやディスクレビュー、ライナーノーツなどの執筆を手がけている。現在は音楽メディア《TURN》にてレギュラーライターおよび編集も担当。

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