溢れ出る生命力。ロットバルトバロンの独創的な最新シングル | Numero TOKYO
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溢れ出る生命力。ロットバルトバロンの独創的な最新シングル

最新リリースの中から、ヌメロ・トウキョウおすすめの音楽をピックアップ。今回は、ROTH BART BARONの「Skiffle Song」をレビュー。

photo by 上田義彦
photo by 上田義彦

枠にとらわれない活動で支持を広げるバンドが結実させた、壮大なポップネス

ROTH BART BARON(ロットバルトバロン)は東京を拠点に活動しているフォーク~ロックバンド。アメリカやカナダ、イギリスでのレコーディング、最近では「P A L A C E」というFacebookのコミュニティを主宰するなど、枠にとらわれない活動が実にユニークだ。今回リリースされたのは2曲入りのシングル。「Skiffle Song」はすでにライブでも披露されていた曲だが、ライブでのパワフルな演奏とは一味異なり、音源で聴くと打ち寄せる波のような緩急のある展開にハッとさせられる。ヴォーカル・三船の弾き語りに近い郷愁漂う序盤から、生命感溢れるハンドクラップを挟んで、リズムセクションがダンサブルにドライブしていく終盤に到達する頃には、自然と心が躍りだしている。実際、つい先日ライブでこの曲を聴いたときに印象的だったのが、集まった人々の熱量とキラキラとした顔だ。楽曲自体は初期の頃からあったというが、今まさに着実に増えている彼らのたくさんの仲間の想いがあってこそ、実を結んだ1曲と言えるかもしれない。

カップリングは、昨年リリースのアルバム『HEX』からの1曲で、バンドのサポートメンバーである、ギターの岡田拓郎がリミックスを手掛けたもの。原曲はフィル・スペクターのウォール・オブ・サウンドを思わせる力強い音像が特徴的だったが、その壮大さを生かしたまま、色とりどりの音を全方位にくっきりと配置し、エレキ・ギターの音色を伸びやかに表現した岡田のポップな感性と手腕が見事だ。

いずれも彼らの楽曲の中でとりわけメロディがキャッチーで、ROTH BART BARON入門にもうってつけ。そして、11月には4thアルバム『けものたちの名前』のリリース、来年5月には《めぐろパーシモンホール 大ホール》でのライブが決定している。壮大さと美しさに強靭なポップネスを兼ね備えた彼らに、あなたも一緒にワクワクしてみてほしい。

ROTH BART BARON 「Skiffle Song」
SideA「Skiffle Song」
SideB「GREAT ESCAPE -Okada Takuro mix-」
¥1,700(2019/8/21発売 felicity)
※24bit/96KHz WAV音源のDLコード付き(7inch)
www.rothbartbaron.com

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Text:Nami Igusa Edit:Chiho Inoue

Profile

井草七海Nami Igusa 東京都出身、ライター。主に音楽関連のコラムやディスクレビュー、ライナーノーツなどの執筆を手がけている。現在は音楽メディア《TURN》にてレギュラーライターおよび編集も担当。

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