MITSUI OCEAN FUJIの寄港地観光ツアー別府・山口で、美しき日本に出会う | Numero TOKYO
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MITSUI OCEAN FUJIの寄港地観光ツアー別府・山口で、美しき日本に出会う

欧米のラグジュアリーな船体と日本のおもてなしの心から生まれるサービスを兼ね備え、華々しくデビューした日本の豪華客船、MITSUI OCEAN FUJI(以下、三井オーシャンフジ)。そのデビュークルーズ7日間は、横浜を出港して別府-釜山-山口を周遊するコース。別府では地元の人とともに裏路地をめぐる冒険を、山口では本州と九州を股にかけ、アートのようなフグ料理に舌鼓。MITSUI OCEAN CRUISES(以下、三井オーシャンクルーズ)でしか体験できない、美しい日本に出会う旅でした。

三井オーシャンクルーズだから実現できる、プレミアムな寄港地観光ツアー

2024年12月、三井オーシャンクルーズに新たに加わったラグジュアリー客船、三井オーシャンフジ。そのデビュークルーズが、12月1日に横浜を出港し、航海日―別府―釜山―下関―航海日―東京という7日間の旅程で行われました。

クルーズ旅の大きな魅力は、寄港地での体験にあります。というのも、一度の旅で行ってみたい目的地をダイジェストで巡ることができるから。しかも、重たいスーツケースを抱えて移動する必要もなし。あれこれ見て回りたい“欲張りさん”には、ぴったりの旅のスタイルといえるでしょう。

今回のデビュークルーズの寄港地観光ツアーのパンフレットを見ていて、ふと目に留まったのが「プレミアムツアー」のマーク。これは三井オーシャンクルーズでしか体験できない特別なツアーだそう。

今回のコースでは別府と下関に、プレミアムツアーのマークを発見。他では体験できないツアーとは? 早速、出発です!

温泉マイスターと一緒に、別府のディープな街歩き

最初の寄港地は、大分県の別府。下船後、別府駅で地元ガイドさんと合流し、プレミアムツアー「温泉マイスターガイドと巡る街歩きと竹瓦温泉」のはじまりです。

まずは、駅前に立つ銅像から。別府の観光の祖・油屋熊八が、両手を高く挙げて観光客を迎えています。別府には湯治場として1000年以上昔の「豊後国風土記」にも記載されていますが、今のような観光地としての姿が形づくられたのは、明治末からこの人が奔走したからこそ。

駅前から大通りを下りていくと、道沿いに大正13年建造のレトロな建物が立っています。ここ「駅前温泉」は“あつ湯”と“ぬる湯(通常)”の2つの源泉を持つ、ちょっとユニークな公衆浴場。宿泊すれば、温泉入り放題だとか。

ガイドさんは、細い路地にもグングンと入っていきます。途中、路地裏にある公民館の前でいったんストップ。説明によると、別府には1階が温泉、2階が公民館という“多目的公民館”が多いのだそうです。温泉が人の集まる場になっているからこその工夫。一石二鳥というわけですね。

西法寺や昭和3年建造の有形文化財「別府市レンガポール」など、あちこち立ち寄っているうちに、もう頭の中で地図が描けない状態です。

ウワサの「お魚コロッケ」でアツアツの揚げたてをパクリ。そして常に長い行列ができる「友永パン屋」の名物のアンパンは、ガイドさんがあらかじめ並んで購入しておいてくれました。行列を横目にパクリとひと口。ちょっとした優越感覚!?です。

やがてディープな別府へ。昔“浮世小路”と呼ばれた辺りは花街でした。すでに芸者さんの置屋や別府検番の建物は取り壊されていますが、別府で“貸席(かっせき)”と呼ばれた遊郭の建物が今も残されています。旧日本海軍郷用達で、山本五十六も訪れたという伝説の「料亭なるみ」の跡地は今や駐車場となっていました。

このあたりの道は、まっすぐではありません。妙なところで折れ曲がっていたり、三角形の土地があったり。その理由は、地下に暗渠があるからなのだとか。昔、湯の川と呼ばれていた「流川」は暗渠となりましたが一部地上にあらわになっている場所も、実際に訪れてみました。

昭和28年に造られた428メートルのアーケード「楠銀天街」は、老朽化で撤去されました。今は、「ソルパセオ銀座」と「やよい天狗通り」の二つのアーケード商店街があります。商店街には、駅前の銅像の油屋熊八さんの活躍も展示されています。

別府は温泉地として有名ですが、何がすごいって、その源泉数と湧出量。全国にある10種類の泉質のうち、別府では7種類を数えます。そして1日の湧出量は10万3000リットル。源泉数と湧出量ともに日本一です。

そして別府の温泉といえば、訪れてみたいのが「竹瓦温泉」。明治12年創業の、別府の温泉のシンボル的存在です。この温泉では、“屋内砂湯”にも入ることができます。

大正10年に建てられた、日本最古のアーケード「竹瓦小路」を抜け、“ゆずまん”で知られる「塩月堂老舗」へ。店内で、昭和天皇も好まれたというゆずまんとお茶をいただき、ほっこりとして、ツアーを締めくくります。

温泉マイスターガイドの解説を聞きながら、ガイドブックには紹介されていないような別府の街歩き。それにしても別府はこんなに日本一が多いとは、目からウロコです。 

下関でおめでたい“ふく”の鶴盛りに感動! 海を渡って門司港レトロへも

本州の最西端に位置する山口県下関。海を挟んだ対岸には福岡県北九州市の門司港レトロが位置しています。プレミアムツアー「ふく旅庵でふく懐石と門司港レトロ」では、本州と九州を股にかけ、グルメと観光を満喫します。

最初に向かったのは、下関のフグ料理専門店「ふく旅庵 下商会館」。下関ではフグは縁起の良い魚として“ふく”と呼ばれているそうです。創業から75年以上にわたり、伝統の味と技が受け継がれてきたこの店は、政府の要人や文人墨客にも愛されてきた名店です。

昭和初期に建てられた和風建築の建物は、まさに由緒ある料亭の趣。通された座敷からは手入れの行き届いた庭を望み、四季折々で目を楽しませてくれそうです。

最初に供されたのは、とらふぐのにこごりと湯引きの前菜二品。見た目に美しく滋味深いにこごりと、弾力のある食感の湯引きを、冬季限定の白子酒と一緒にじっくりと味わいました。

続いて出てきた「鶴盛り」には思わず目を見張りました。大きなお皿にふぐの刺身で鶴が描かれています。刺身の厚みや切り方で鶴の胴体と羽の先の違いを繊細に表現した、まさにアート作品! デビュークルーズの記念にぴったりのおめでたい料理です。しばし見とれながらも、絶品の刺身、たっぷりと堪能しました。ちなみに、ふく旅庵 下商会館では牡丹の花をフグの刺身で描いた牡丹盛りも有名です。

続いて唐揚げや茶わん蒸し、鍋、雑炊と、“ふく”の幸福なオンパレード。ほろ酔い気分とあいまって、至福の時間です。

ふぐを満喫した余韻に浸りながら、お次は関門連絡船に乗って、本州から九州へと向かいます。門司港ではガイドがスタンバイし、港の歴史や周辺の建物を案内してくれました。

北九州市の門司港は今から130年前の明治初期に開港。日清戦争・日露戦争・第一次世界大戦とくぐり抜け、中国に近いことから大陸貿易と欧州航路の寄港地として、隆盛を極めました。当時は神戸、横浜とともに日本三大港にあげられていたことも。

門司港レトロは、そんな明治から昭和にかけての歴史を彩った建物が点在するエリア。徒歩圏内に見どころが点在しています。

どっしりとした石造りのJR門司港駅は、大正3年に開業。ネオルネサンス様式というシンメトリーな造りで、鉄道駅舎としては初の国の重要文化財に登録された、現役の駅です。構内には、九州鉄道の起点を表す「0哩(ゼロマイル)標」も残されています。

駅舎から通りを挟んだところには「旧門司三井倶楽部」があります。ハーフティンバー様式の洋館で、三井物産の社交倶楽部として使われていました。なんと、アインシュタインもここに宿泊したとか!

港周辺にはお土産物店やカフェが集まっています。

北九州市ではお土産に悩む人が多いというけれど、ガイドさんにたずねたところ、おすすめは“ぬか炊き”だとか。青魚をぬかで炊いたもので、使用する魚はいろいろあるようです。そのうち脂ののったサバが評判です。一緒に並んでいた、ふぐの皮の瓶詰も先ほどの余韻を家でも味わいたく購入しました!

門司港の全体像を見渡すなら、「門司港レトロ展望室」へ。建築家黒川紀章が設計した高層マンションの31階が展望室になっています。関門海峡や関門大橋、平安時代末期の壇ノ浦の古戦場も見渡せます。

こちらが宮本武蔵と佐々木小次郎、二人の剣豪が戦った舟島(いわゆる“巌流島”)。明治時代以降、埋め立てが数度行われ、対決当時の6倍の面積になり、「巌流島憩いの広場」も整備されています。

港から関門連絡船の乗り場へ向かう近道となっているのが、跳ね橋の「ブルーウィングもじ」。この跳ね橋は歩行者専用としては日本最大級。カップルで渡ると幸せになれるそうです。

幸福いっぱいのフグ料理に、レトロな港町。本州と九州の両方を楽しめるプレミアムツアー。美食に観光、お土産も仕入れられる最強プランです!

MITSUI OCEAN FUJI(三井オーシャンフジ)
https://www.mitsuioceancruises.com/fuji/

 

Photos & Text: Chieko Koseki

Profile

古関千恵子 Chieko Koseki 旅行ライター。リゾートやエコ、ダイビングなど、国内外のビーチにフォーカスして寄稿。ここ最近は国内のビーチの美しさを再発見し、全国津々浦々を探訪中。目指すは伊能忠敬!? Instagram:@chieko_koseki

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