Fashion / Editor's Post

JW アンダーソン デザイナーに新コレクション&コロナ状況に対する思いをインタビュー

前回の2021年春夏メンズ&リゾートウィメンズコレクションに引き続き、ボックスという形でJW アンダーソンの2021年春夏ウィメンズコレクションを発表したジョナサン・アンダーソン。彼が今回のコレクションで表現したかったこと、またコロナ状況におけるクリエーションへの影響や心境の変化について、多忙なスケジュールを縫ってZOOMインタビューに答えてくれた。

JW アンダーソンのビデオ形式のコレクションが配信される当日朝、我が家にコレクションボックスが到着しました。


包装紙は何やら小説のページのプリントが。

中を開けると・・・

バインダーが入ってあり、その始めのページには”The secret & life is in art by Oscar Wild”と書かれたメモが挟まっていました。

そう、今回のコレクションでは、彼は自身と故郷を同じくする、アイルランド出身のオスカー・ワイルドをテーマに起用したのです。

──オスカー・ワイルドをテーマに選んだ理由を教えてください。

ジョナサン(以下J)「オスカー・ワイルドをテーマに選んだのは、彼の逃避主義という美的感覚ではなく、むしろその背景に惹かれたからです。気の利いた言い回しや、発言の決断力、そしてオスカーの著書の中で見つけた「The secret & life is in art (秘密と人生はアートの中にある)」という引用文が今の状況にぴったりだと思いました。この引用文からはとても楽観的なメッセージを感じますし、物事を違う角度から見えるようにもなります。私は、時にとてもポジティブで今この私たちが生きているこの瞬間にとても満足しているし、重要なのはこの瞬間リラックスして、この瞬間を吸収することそして他者と話してコミュニーケーションをとることです。共有することが大事です」

今回のコレクションでは、ホワイト、クリームイエロー、ライトブルー、オレンジのパレットにJW アンダーソンが得意とする、テーラリングによるサテンのドレープ、ダブルブレストコートのソリッドさ、そしてトゥービッグなポケットは健在しています。さらにマットと光沢、ジャカードやプリーツなど生地やテクスチャーで異なる素材をミックス。こういったシャープと装飾の掛け合わせで、”甘辛”が絶妙に融合されたコレクションに仕上がっています。

──コレクションの中にはフェザーをあしらった、ピアスやサンダルなどのアイテムにありましたが、フェザーが今回のコレクションのキーアイテムでしょうか。

J「何か、繊細に美しくて、軽やかな動きが欲しかったのです。その軽やかさは、コレクションのキーポイント。自由でいて、良い意味で逃避主義的な様子を表しています」

バインダーには、色とりどりのペーパーや、コレクションの雰囲気を彩る花などの写真とともに、ルック写真も収められていて、付属のコインでバインダーから取り外すと、自分で紙にプリントされたモデルたちをハサミで切っていけるのです。子供の頃、紙の着せ替え人形で遊んでいた楽しい感覚が蘇りました!

──JW アンダーソンとロエベともに前回のコレクションから発表方式をランウェイからこのキットボックスに変えましたよね。あなたの「ジョイ」を感じ取れましたが、このような状況でも楽しむコツは?

J「コツは、ただ状況に身を任せることだと思うのです。世界は変わったのだから新しいことにチャレンジするべきです。先ほども言いましたが私はとても楽観主義者です。トライすることチャレンジすることを楽しんでますし、皆さんにもそうであってほしいと思っています。なぜならそれでこそファッションを違う視点から観れるようになるから。キットボックスは私にとって、これを受け取った遠く離れた日本、中国、アメリカの方々ともコミニュケーションを取れるツールにもなります。今この現実に沿わないようなランウェイをストリーミングする代わりに、触って、感じて、コレクションについて話すのです。それでこそ私にとってはしっくりきます」

──ではこのコロナ禍が始まって9ヶ月ほど経ちましたが、始めと比べて自身の心境の変化は変わらないでしょうか。

J「僕はとても実践的な性格なんです。何かを決めたらもうそうすると決める。もう始めから今年はショーはやらないと決めていました。なぜならそれは適切ではないし、世界中の皆さんに会えないのにショーをやる理由がわからなかったから。皆さんが参加できないなら、じゃあみんなにボックスを届ければ、その形でみんなに会うことができるし、みんながコレクションに参加できると思ったんだ。僕の視点は、この状況を乗り越えると同時に、逃げるのではなくてこの状況から学ぶということ。繰り返しになるけれど、実は結構このチャレンジングな状況を楽しんでいるんです」

ジョナサン・アンダーソンとのZoomインタビュー風景
ジョナサン・アンダーソンとのZoomインタビュー風景

後日発表したロエベ、JW アンダーソン×モンクレールでも同じくボックスを提供。
特にロエべでは、ウォールペーパーとハサミやペンキといったツールも同封されており、ゲストがおうちで楽しくクラフトしてその世界観を体感できるような工夫が凝らされていました。

常に新しい視点でクリエーションに胸をワクワクとさせているような、ジョナサンのタフさやある意味でワーカーホリックとも言えそうな、仕事やクリエーションに対する熱い想いに、背中を押されるような気がします。今後どのような状況でも前向きに活動していきそうなそんな姿から、私たち言わば観客にとって安心して見守れるデザイナーの一人のような気がしました。

Profile

大岩翠Midori Oiwa ファッション・エディター/フォト・エディター。大学在学中のイタリア留学でミラネーゼファッションの虜に。卒業後、ライフスタイル誌勤務を経て2014年に渡英。ロンドンでファッションを学び、『LOVE MAGAZINE』でアシスタント経験を積む。帰国後、『Numero TOKYO』に参加。表紙&ファッションストーリーのほか、シューズやバッグなどのページを担当している。暇さえあれば、VODサービスでビデオサーフィンとマッサージ通い。最近はワークアウトにものめりこんでいる。

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