思わずゲットした「Jil Sander」のA Magazine | Numero TOKYO
Art / Editor’s Post

思わずゲットした「Jil Sander」のA Magazine

「A Magazine Curated By」といえば、ベルギーのアントワープ発、毎号さまざまなファッションデザイナーをゲストキュレーターとして迎えることで生まれる、ユニークなコンセプトマガジン。これまで、キム・ジョーンズやマルタン・マルジェラ、山本耀司など名だたるデザイナーが参加し、それぞれの美意識やデザイナーの精神を映し出してきました。いつも素晴らしいビジュアルを見せてくれる雑誌なので毎回楽しみにしているのですが、第21号はジル サンダー(Jil Sander)のルーシー・メイヤー(Lucie Meier)とルーク・メイヤー(Luke Meier)夫妻がキュレーションを務めると聞き、即ゲット!

箱開けると、3Dスキャンによる真っ白な花模様の和紙カバーに浮かび上がる”A”が素敵な表紙。

イタリア製のLenza再生紙にオフセット印刷されており、能登半島の丘で三代続く製紙業者によって手作りされた花模様の和紙を再現した3Dスキャンの表紙が特徴。あえて糸綴の背中をそのまま見えるように仕立て上げられ、印刷も北イタリアのアオスタ地域でされているのだとか。まさにイタリアと日本のコラボレーション。2019年春夏コレクションには、マリオ・ソレンティによる、日本の美しい風景を切り取った広告キャンペーンも記憶に新しいですが、彼らの和への愛を感じました。

「HUMAN NATURE(人間の性) / MOTHER NATURE(母なる自然)」をテーマに、写真や絵画、イラストレーション、ポエトリー、エッセイなどが続きます。夫、妻だけでなく兄弟、姉妹だけでなく、メイヤー夫妻の親戚や友人の子供たちによる作品が多いのは、家族を大切に思う気持ちが感じられます。この号のテーマは、COVID-19危機が世界中に広まる数か月も前に考案されたらしいのですが”ウィズ コロナ”の中にいる私たちにとっては人との繋がりが改めて大切に感じさせられ、どこか今の状況にリンクしているかのよう。

フランスとイタリアのロックダウン真っ只中に完成したこともあり、この状況を忘れないために、イタリアの写真家ジャスコ・ベルトーリの作品を最後に入れ込んだそうです。自身のアパートの窓から撮影した、パリの路上のソーシャルディスタンスシーンの風景……普通の風景と変わりないようでいて少しじーんとしてしまう……。この本を見返すたびにもしかしたらこの今の状況を思い返せるのかもしれません。

価格は税別2,500円。私が発売されることに気づいた時にはすでに日本の店舗は完売状態……。もはや国内では手に入らないのかと、どうしても欲しいのでイタリアのジル サンダーから直接取り寄せることに。今ならまだイタリアからなら直接買えるかもしれません……! また、年内には、本物の和紙カバーとジル サンダーのファブリックタッセルの栞紐が特徴的な200部の特別版が、リリースされる予定だそうです。逃した方はそちらを狙ってみてください!

Jil Sander
ジルサンダージャパン
TEL/0120-919-256
URL/www.jilsander.com

Profile

大岩翠Midori Oiwa ファッション・エディター/フォト・エディター。大学卒業後、渡英。ロンドンのファッション誌でアシスタント経験を積む。2018年に帰国し、『Numero TOKYO』に参加。現在は、海外撮影のカバーストーリーをメインに、ファッションコンテンツを担当しているほか、フリーのエディター、スタイリストとしても活動中。去年から猫を飼い始め、愛猫と一緒に寝るのが何よりも癒し。おかげで引きこもりがちなので、今年こそは海外旅行のルーティンを取り戻したいとたくらみ中。
Instagram: @midorioiwa

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