130年以上の歴史を誇るクラシックホテル「万平ホテル」。2024年の大規模リニューアルによって、伝統的な建築美はそのままに、より快適な滞在をかなえる空間へと生まれ変わりました。軽井沢の豊かな自然に包まれながら、時を重ねた建築や文化に触れるひとときが楽しめます。

万平ホテルは、ジョン・レノンや三島由紀夫をはじめ、多くの文化人や著名人に愛されてきた老舗ホテル。昭和11年建築の趣を受け継ぐ「アルプス館」、全客室の内風呂で天然温泉が楽しめる「愛宕館」、アースカラーを基調にしたモダンな「碓氷館」の3棟からなり、滞在スタイルに合わせて選ぶことができます。
今年90周年を迎えたアルプス館は、国の登録有形文化財にも指定される万平ホテルの象徴的存在。木の温もりを感じる内装や、職人の手仕事が宿る調度品の数々には、長い年月をかけて育まれた品格が漂います。

朱色の絨毯が広がるフロントロビーは、木の温かみと柔らかな照明が織りなすクラシカルな雰囲気。

フロント横の階段上には建設当時から変わらないステンドグラスがあり、陽光を受けてきらめく亀のモチーフは万平ホテルの長い歴史を静かに物語ります。


客室は、伝統とモダンが心地よく調和した和洋折衷の落ち着いたデザイン。窓の外には豊かな緑が広がり、軽井沢彫りの家具や万平格子のガラス障子など、ホテルならではの美意識が随所に散りばめられています。
広々としたバスルームには猫足のバスタブを備え、リファのドライヤーやモルトンブラウンのアメニティも完備。クラシカルな趣の中に、現代のラグジュアリーが自然に溶け込んでいました。


豊かな自然に囲まれたカフェテラスは、このホテルを訪れたならぜひ立ち寄りたい場所。
ジョン・レノンが訪れるたびに注文していたという伝統のアップルパイは、レーズンのアクセントが心地よく、ロイヤルミルクティーとの相性も抜群です。他にも90周年を記念した特別なパフェやスコーンが楽しめます。

チョコレートの鈴蘭が目を引く「アルプス館90周年記念パフェ」は、ステンドグラスをイメージしたフルーツジュレやフランボワーズムース、ロイヤルミルクティーのチョコクランチが重なり、爽やかな酸味と優しい甘さが口いっぱいに広がる爽やかな一品です。

「ジャムを楽しむスコーンセット」も印象的。昭和初期の軽井沢で親しまれていたルバーブとかぼちゃとオレンジのジャムは、温かなスコーンとよく合い、ゆったりとしたティータイムを演出してくれます。

夕食は、かつてダンスホールとして使われていた「メインダイニングルーム」へ。土星をモチーフにしたペンダントライトや格調高い折上格天井など、創建当時の意匠が残る空間でいただくのは、「アルプス館90周年記念ディナーコース」。開業当時のメニューを現代的に再構築し、信州の食材をふんだんに取り入れた特別なコースです。
前菜は、軽く炙ったホタテのミキュイ。続く鴨胸肉で包んだ信州りんごのバターソテーは、りんごの自然な甘さと信州味噌のコクが美しく調和し、印象に残る一皿でした。

メインは信州和牛ロースのグリル。メートルドテルバターとホテルオリジナルの和風ソースをかけると、ハーブが香るバターのコクと香ばしいジャポネソースが肉の旨みをさらに引き立てます。上質な脂は驚くほど軽やかで、最後まで飽きることなく味わえる一皿でした。
料理に寄り添うワインペアリングまで含めて、この場所ならではの美食体験が完成します。


食後はクラシカルなバーへ。ノスタルジックな大人の空間でいただいたのは、芥川龍之介の『軽井沢日記』に登場するレモナアデから着想を得たカクテル「アルプス・レモネード」。木苺のリキュールと赤ワイン、レモネードが織りなす爽やかな味わいにベリーの華やかな香りが重なり、文学と歴史が交差する万平ホテルらしい一杯でした。

歴史ある建築、美しい自然、信州の豊かな食、そして長い時間をかけて受け継がれてきたおもてなし。万平ホテルには、観光地を巡る旅とは異なるゆっくりと時間を味わう贅沢があります。
軽井沢の澄んだ空気に包まれて過ごした時間は、都会では忘れていた呼吸のリズムを取り戻していくように心まで軽くしてくれる、そんな滞在になりました。
万平ホテル
住所/長野県北佐久郡軽井沢町軽井沢 925
TEL/0267-42-1234
URL/https://www.mampei.co.jp/





