モードの新時代をつくるクリエイターのつながり vol.2 ジョナサン・アンダーソン | Numero TOKYO
Fashion / Feature

モードの新時代をつくるクリエイターのつながり vol.2 ジョナサン・アンダーソン

アレッサンドロ・ミケーレ、ジョナサン・アンダーソン、ヴァージル・アブロー。今のモードを牽引する3人の審美眼と、世代とジャンルを超えて彼らとつながる次世代クリエイターとは。vol.2は、Loewe(ロエベ)を率いるJonathan Anderson(ジョナサン・アンダーソン)。(『Numero TOKYO(ヌメロ・トウキョウ)』2019年9月号掲載)

世代、ジャンルに縛られず、新しくタイムレスな才能を発掘

ロエベのクリエイティブ ディレクターである彼にとって、アート、クラフト、建築、デザインは、クリエイションにおいてなくてはならない要素。クラフトの重要性にフォーカスして新しい才能を発掘する「ロエベ ファンデーション クラフト プライズ」、自身の審美眼でキュレートしたアートと服が共存する「カーサ ロエベ」など、ファッションとそれらの境界線をなくし、互いに影響し合う関係を築くためさまざまなプロジェクトを行う。世代を超え異分野が出会ったときに生まれる予想外の何かを探求し、ファッションに自分なりの革新をもたらしている。

一人二役の双子のファニーなセルフポートレート

イマノ フミコ/アーティスト


自身と写真を切り貼りした空想上の双子のセルフポートレートで知られる彼女とのコラボは、2018年春夏シーズンのイメージブック『パブリケーション』で初めて撮影を担当して以来4回目。今季はスーパーモデル、フェイフェイ・ サンと共演。自分とは何かを見つめ直す、自己証明でもあるチャーミングな虚構の世界にユーモアを愛するジョナサンも絶大な信頼を寄せている。

ユーモアのセンスに共鳴する刺激しあえる存在

Anthea Hamilton(アンセア・ハミルトン)/アーティスト


ポップカルチャーのエッセンスを取りれた大胆な作品を発表する現代美術家。彼女の作品から伝わってくる遊び心とユーモアセンスに惚れ込んでいるジョナサンは、デザイン・マイアミ地区のロエベブティックでのアート展(2015)に作品制作を依頼。その後、テート・ブリテンで行ったパフォーマンスと彫刻を組み合わせたインスタレーション「The Squash」(2017)のパフォーマー用の衣装で再タッグ。

エナジーと自己表現が炸裂する前衛的な陶芸

桑田卓郎/陶芸家


「ロエベ ファンデーション クラフト プライズ 2018」特別賞を受賞した彼の作品は、典型的な釉薬を用いた磁器のフォルムに、ヴィヴィッドな色彩、異質な金属をダイナミックに組み合わせるコントラストが特徴。茶碗の文化的背景や土の感覚を尊重しながらも、影響を受けたストリートカルチャーを取り込んだ焼き物を「伝統的なセラミックを逸脱した新しい世界」とリスペクトする。

エネルギッシュにリアリティを捉える若き感性

Gray Sorrenti(グレイ・ソレンティ)/モデル、写真家


「パウラズ イビザ」のキャンペーンは、ニューオリンズ(2018)、ドミニカ共和国(2019)での旅のワンシーンを捉えた若者たちの生き生きとした姿が印象的だ。撮影したのは、写真家マリオ・ソレンティの娘で、新進気鋭の18歳の写真家グレイ・ソレンティ。「人生の瞬間を切り取る力がある」とジョナサンが賞賛するように、兄や友人、現地の人々をモデルにしたライブ感あるヴィジュアルは、現実的かつユーモラス。

伝統的な漆を普遍的なピースに変換、次世代クラフト

石塚源太/アーティスト


伝統的な漆芸をコンテンポラリーな彫刻に仕上げ、「ロエベ ファンデーション クラフト プライズ 2019」大賞を受賞。スーパーマーケットで見かけたメッシュ袋に入ったオレンジにインスパイアされ、日本古来の漆の技法とごく日常の平凡なモチーフを融合した。「歴史のある漆を用いながら、時代を感じさせないタイムレスな作品を実現している」とジョナサンは評価する。

新時代をつくるクリエイターのつながり

Text:Masumi Sasaki Edit:Sayaka Ito

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