1日1組だけ。穏やかな周防灘を眺望できる「小屋場 只只」 | Numero TOKYO
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1日1組だけ。穏やかな周防灘を眺望できる「小屋場 只只」

海マスターの古関千恵子さんが、海外ビーチに続き国内の絶景海を堪能できるステイ先を厳選して紹介。日本ならではの海の魅力を堪能しよう。(「ヌメロ・トウキョウ」2019年6月号掲載)

中空に突き出たようなデッキテラスは、どこまでも広がる空と海を満喫する特等席。特注の窓ガラスはすべて開放することができ、部屋にいながらにして、シームレスに自然を感じられる。
中空に突き出たようなデッキテラスは、どこまでも広がる空と海を満喫する特等席。特注の窓ガラスはすべて開放することができ、部屋にいながらにして、シームレスに自然を感じられる。
瀬戸内海・周防灘(すおうなだ)をじっくり眺められるのが、大津島の海を見晴らす丘の中腹に立つコチラ。ダイニング、リビング、ベッドルーム、バスルームが横に並んだ造りで、全開できる窓から海の眺望が広がる。デッキテラスで海に向き合えば、太陽が順光の午前中は深い青が美しく、中天を越えた午後は光がちらちらと鱗のように反射し、表情を変える。やがて水平線に沈むサンセット。壮大な自然絵巻はさらに続き、星がきらめき、月の光が川のように真っ直ぐ海に伸びる。

リビングやベッドルームが横に並んだ平屋。家具はオーナーの水本雄二さんが自宅用にと集めた、デザイナーのものや海外で買い付けたもの。
リビングやベッドルームが横に並んだ平屋。家具はオーナーの水本雄二さんが自宅用にと集めた、デザイナーのものや海外で買い付けたもの。

自分が地軸になったように、大自然のサイクルを体感できるのは、1日1組のゲストだけ。食卓には大津島の野菜や瀬戸内海の魚、冬にはフグ料理が並び、かまどで炊いた米がこれまたうまい。施設には他に五右衛門風呂や茶室も。そしてデッキテラスからの眺望の一角に見える唯一の人工物が、大戦時の人間魚雷“回天訓練基地跡”。悲しい歴史に切なさが込み上げ、この海の景色を一層美しく感じさせるのかもしれない。

小屋場 只只

住所/山口県周南市大津島字西田浦2763
TEL/0834-85-2800(10:00~20:00)
URL/www.koyaba.jp
¥42,000~(1室2名利用時の1名料金)

日本の絶景・海ステイ

Illustration: Yuko Saeki Text:Chieko Koseki Edit:Sayaka Ito, Saki Shibata

Profile

古関千恵子Chieko Koseki ビーチライター。ダイビング雑誌の編集を経てフリーのライターに。リゾートホテルやダイビング、エコ活動など海にまつわる取材を重ねるうちに、いつしか「ビーチライター」が定着。取材でビーチ、締め切りが明けたらビーチを繰り返すライフスタイル。ウェブなどで連載中。

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