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Culture Editor's Post

祝・文化功労者 選出! 杉本博司のコメントを掲載

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「小田原文化財団 江之浦測候所」プレス内覧会にて、光学ガラスの能舞台で報道陣に挨拶する杉本さん

日本を代表するアーティストにして、その探求領域は写真、彫刻、インスタレーション、演劇、建築、造園、執筆、料理まで。慧眼と諧謔ほとばしる希代の数寄者、杉本博司さんが今年の文化功労者に選出されました。おめでとうございます……!!!!!!!!!!

杉本さんといえば構想十数年、自身のアートの集大成にして、道楽・酔狂の限りを尽くした一大文化発信拠点「小田原文化財団 江之浦測候所」(神奈川県小田原市)が10月にオープンしたばかり。

小誌でもこれまでに小誌「ヌメロ・トウキョウ(Numero TOKYO)」2015年7・8月号にて、内装デザインを手がけた東京ミッドタウンの「イセタンサローネ」オープニング取材のほか、「日本文化の深層と光」についてインタビューを掲載。

現在発売中の2017年12月号でも、江之浦測候所でのインタビューとともにその全貌をレポートしています。

(参考記事)「杉本博司の集大成にして、最新作「江之浦測候所」を訪ねて」https://numero.jp/news-20171101-hiroshisugimoto/

「ヌメロ・トウキョウ(Numero TOKYO)」2017年12月号 杉本博司インタビュー誌面

なお、今年の文化功労者には歌舞伎俳優の中村吉右衛門さん、ファッションデザイナーのコシノジュンコさん、バレエダンサーの吉田都さんほか15名が選出され、顕彰式は10月6日(月)にホテルオークラ東京で開催。当日は杉本さんは海外とのこと、以下のとおりコメントを発表しています。

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文化功労者として 杉本 博司

この度、文化功労者として顕彰されることは光栄のいたりでございます。私は成人してからのほとんどの時間を海外で過ごしてまいりました。その間、日本文化がいかに日本以外の文化に比べて特殊であるかということを身に沁みて感じ、またそのような環境のもとに生を受け、幼少期から青年期の多感な時期を過ごせたことを有り難く、また誇りに思ってまいりました。私は日本人として、海外の人々からの日本文化に関しての様々な質問に答えてまいりました。いわば日本人の日本に関する説明責任を果たしてきたつもりでございます。今世界は成長の臨界点に達し、成長と環境破壊との矛盾になす術を持ち得ていません。私は日本文化の特殊性は、その豊かな自然に囲まれて過ごした縄文の1万年によるのではないかと考えるようになりました。文明化とは森を切り自然を壊すことから始まります。古代の日本人は森を壊すことを禁じ、自然界に潜む神々と交信する技術を学びました。その時代に育まれた感性が今の日本人の血にも脈々と流れています。これからの難しい世界を導くことのできる力は、そのような感性の内に見出されるのではないか、自然と共生することのできる文明、それは日本人の感性の中にあると私は思います。文化功労者として、これからも国威発揚を文化を通じて行っていく所存でございます。

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ところで、結びの一文の言葉尻だけをあげつらう向きがあるようですが、これまでの杉本さんの作品をはじめ、1万1500坪におよぶ江之浦測候所の敷地全景をつぶさに思い返してみても、古墳時代の石棺の蓋から創建当初の法隆寺の礎石、千利休写しの茶室に用いられたミカン小屋のトタン屋根まで、“杉本節”とも呼ぶべき深遠なる目利きと軽妙なる見立て、駄洒落の効いた語り口の躍動感がありありと甦ってはきたものの、その中に懸念すべき要素は微塵ほども思い当たりませんでした。

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「小田原文化財団 江之浦測候所」の敷地から小田原の海を望む

木を見て森を見ずというよりも、もはや木を見ないでアートという森の姿さえも見えず。

さように上っ面ばかりが反射的に云々される時代にあって江之浦測候所は「耐用年数1万年、たとえ富士山が噴火したとしても礎石くらい残るでしょう」(杉本さん談)という酔狂の極致、遠く浮世の遙か先を見据えて佇んでおり、そんな悠久なる創造性の発露を同時代で体感できることを、心から嬉しく思いました。

末筆ながら杉本さん、改めましておめでとうございます……!!!!!!!!!!

Profile

深沢慶太(Keita Fukasawa) フリー編集者、ライター、『Numero TOKYO』コントリビューティング・エディター。『STUDIO VOICE』編集部を経てフリーに。『Numero TOKYO』創刊より編集に参加。雑誌や書籍、Webマガジンなどの編集執筆、企業企画のコピーライティングやブランディングにも携わる。編集を手がけた書籍に、田名網敬一、篠原有司男ほかアーティストの作品集やインタビュー集『記憶に残るブック&マガジン』(BNN)などがある。『Numéro TOKYO』では、アート/デザイン/カルチャー分野の記事を担当。

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