和菓子職人が生み出す至極の生菓子&抹茶ちょこ | Numero TOKYO
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和菓子職人が生み出す至極の生菓子&抹茶ちょこ

和菓子職人が丹精込めて丁寧に作り上げる、絶品わらび餅と高級抹茶を使った生チョコレートを味わえる「御菓子所 山中」をご紹介。

昭和8年に創業し、薯蕷(じょうよ)やきんとん、わらび餅など、和の生菓子で知られる老舗和菓子店「御菓子所 山中」。「お客様それぞれに合わせた御菓子を新鮮な状態で美味しくいただけるように提供したい」という四代目店主・遠山浩司さんの思いから、薯蕷やきんとんは全てオーダーメイド。

お菓子に使う材料も徹底的に吟味され、香料や合成着色料は一切使わないというこだわり。素材そのものの自然の色合いや味を大切にしながら、酸味、苦味、甘味、辛味、塩味に淡味を加えた“六味”を意識した味の組み立てをベースにしているのだそう。

例えば、機械を使わず2時間かけて火加減を調整しながら手作業で炊き上げる餡は、さらしあん、こしあん、つぶあんと用途によって仕上がりを変え、「薯蕷饅頭は皮が主役なので、さらしあんは主張しすぎないように、逆に餡が主役になるつぶあんなどは、旨味が引き立つように炊き上げるんです。本当に美味しい餡というのは、小豆本来の青い味から灰汁を抜くだけ」と、遠山さん。

そうして丁寧に作られる和菓子はどれも、日本料理にも通じる繊細で奥深い味わいで、素材そのものの豊かな風味を堪能できます。その中でも私が大好きなおすすめ二品はこちら。

わらび餅
 

事前に予約しないとなかなか手に入らないわらび餅は、わらび餅、こしあん、きな粉がひとつに。この組み合わせは、店主が以前修行した経験を持つ、林修先生がテレビで紹介して全国にも広まった名古屋の名店「芳光」のDNAを引き継ぎます。それをオリジナルに仕上げたわらび餅は、それぞれ絶妙なバランスで他にはない味わいが魅力です。

きな粉がかかったぷるんと丸いわらび餅に黒文字をひと差し入れると、中からこしあんが。わらび餅が漆黒なのは素材の良さにあり、わらびの根からごく少量しか取れない本わらび粉を使用しているため。

「本わらび粉は本来灰色なんですよ」と、お店で使っている本わらび粉を見せていただきました。職人のこだわりを感じるこのわらび餅は、ぜひ味わっていただきたい口福な逸品です。

抹茶ちょこ
 

続いては、抹茶の苦味と旨味が濃縮された、甘すぎないビターな味わいの「抹茶ちょこ」。洋菓子店を開いていた「山中」の三代目で、今は亡き店主の兄との共作で生まれた生チョコレートは、和洋を一度に楽しむことができます。特注品のホワイトチョコレートと地元は愛知・西尾産の高級抹茶を贅沢に使用し、隠し味にキルシュを効かせた大人な一品。

抹茶をシンプルに味わえる「抹茶ちょこ 濃い茶」、抹茶を従来の2倍使用した「抹茶ちょこ 濃い茶『改』」、丹波の黒豆をと使った「抹茶ちょこ 丹波黒豆」、ローストした新潟の国産クルミとスコッチウイスキー、オルトモア(AULTMORE)12年が隠し味の「抹茶ちょこ 和胡桃」の全4種類。中でも「抹茶ちょこ 濃い茶『改』」はとても濃厚で、香り豊かな抹茶の旨味とコクがギュッとひとつに詰まった、一口食べただけで心もお腹も満たされる贅沢な味わい。

金色の包みに巻かれて黒い箱に納められ、和紙と紐でしっかり包装されているので、お持たせにもぴったり。

また店主の一押しは、抹茶ちょこにオリーブオイルをかけるいただき方。特におすすめなのが、ノーベル賞授賞式の晩餐会でも使用されたという、スペイン・リオハのワイナリーで生産されたエクストラ・バージン・オリーブオイル「アウボカーサ(AUBOCASSA)」とのこと。

これが予想以上の美味しさ…! オリーブオイルのさわやかな香りではじまり、抹茶の風味が後から口に広がります。抹茶ちょこを購入すると「アウボカーサ」の使い切りがセットに。さらに、オリーブオイルのボトルセットもあるのでおすすめ。自宅のオリーブオイルで試すのも面白いです。

元はデザインのお仕事をされていたとだけあってか、店頭も白を基調に和を感じる作りとチークが使われた素敵な佇まい。いまはテイクアウトのみですが、これからはイートインも考えているのだとか。

「うちの(山中の御菓子)は美味しいです」と店主自身が自信を持って手間暇かけて作る和菓子は、本当にどれも絶品。余分なものは一切使わずに仕上げられた“本物の味”を堪能できるので、ぜひ味わってみてください!

御菓子所 山中
住所/愛知県名古屋市昭和区檀渓通3-14 檀渓アイリス1F
営業時間/10:00~18:00
定休日/火曜日、第3水曜日
TEL/052-842-8896
URL/okashi-yamanaka.jp

Profile

鄭季和Kefa Cheong ウェブ・プランナー。大学でメディア・アートを専攻し、音や光を中心としたインタラクティブ作品やプロダクトの制作に没頭。学生時代よりウェブ・アシスタントとして『Numero TOKYO』に参加。アーティストJUJUによるファッション企画「JUJU’s Closet」などコンテンツの編集を経て、魅せるコンテンツ作りを目指しプランニングに従事。好物は美味しいお酒と肴と『吉田類の酒場放浪記』。

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