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People Interview

水原希子&リリー・フランキーのスペシャル対談
「大根監督は女優をキレイにエロく撮る」

映画『奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール』に出演した水原希子とリリー・フランキーの二人によるリアルな恋愛談義。(「ヌメロ・トウキョウ(Numero TOKYO)」2017年10月号掲載

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“力まないカッコいい大人”=奥田民生に憧れる雑誌編集者のコーロキ(妻夫木聡)が、恋の喜びや絶望を味わい、もがき苦しむ抱腹絶倒のラブコメディ『奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール』。大根仁監督がメガホンを取った本作で、見る者をすべて夢中にさせる最強(最恐、最狂)にキュートでセクシーなファッションプレス、あかりを演じた水原希子。そしてコーロキを悩ませる時代錯誤なライター、倖田に扮したリリー・フランキー。性別や年齢を問わずモテまくる二人が考える、出会う男を狂わせる女とは? エロい女とは?

リリー・フランキー(以下L)「いや〜『奥田民生になりたいボーイ〜』の希子ちゃんは、超〜エロかった。映画であんなに生々しくてエロい女を観たのは久しぶりだったよ」

水原希子(以下K)「本当ですか!?」

「あんなに女性を撮ることに執着してる監督はいないからね」

K「(笑)、そういえば時間がかかりましたね。“もっとベロを出して”とか、要求もたくさんありましたし」

「また体の“しなり”がキレイ。昔でいう柳腰で小股の切れ上がった。あの役はこの体つきじゃないと成立しないし、観終わってほかの女優さんが思い浮かばなかったよね」

K「女優と呼んでもらうほど実力もないので“何でもやります!”って」

「大根監督は女優さんをキレイに、なおかつエロく撮れるし。あかりが黒い下着で横になってるシーンなんか、特によかったな〜。エロかった」

K「監督は、私のお尻が好きなんですよ(笑)。以前、『週刊文春』の(巻頭グラビア)“原色美女図鑑”を見た監督がお尻がいいとツイートしてくださっていたのを知っていて」

「あのシーンは、監督も自分でいい画が撮れたと思ったんだろうね。そのときのモニターの映像をリアルタイムで写真に撮って送ってきたから(笑)」

K「(笑)、だから、どうせやるならキレイに撮ってもらおうと覚悟を決めて。毎日お尻とかおっぱいにクリームを塗って。美容にも気を配りながら現場に臨みました(笑)」

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観て苦しくなるのは、
似たようなタイプの女に
振り回された記憶があるから

「あと“今の若い人たち”をおじさんの監督が描くと、だいたいズレてるけど、大根監督はリアルだし。それでいて普遍性もあって。この映画を観て男がどこか胸が苦しくなるのは、希子ちゃんほどいい女じゃないにせよ、似たようなタイプの女に振り回された記憶があるからかなと」

K「ありますか? そういう記憶」

「ありますよ〜、今でも。優しくて自分のことを慮おもんばかってくれて…そういう女を反故にしながら、ああいうあかりみたいな女に走ってしまう。これはもう、男の性としかいえない。そもそも人って思いどおりにならないことに夢中になるものだし」

K「確かに、そうかもしれない」

「演じてみて、また同性としてあかりのことをどう思った?」

K「周りにいるなって(笑)。あそこまではブッ飛んでないけど」

「どこか麻痺してる女性というか。あかりに狂わされている男たちの修羅場にも動じない」

K「きっと、あかりは自分のことが一番、大事なんですよ」

「あかりとは違うタイプなんだろうけど、希子ちゃんも男をああいう目に遭わせてきたんだろうなと」

K「遭わせてないですよ〜」

「じゃあ、映画でもあったように、自分が遊びに行ってるときに彼氏から電話がガンガン来たらどうするの?」

K「基本、でないです」

「(笑)、彼氏はまさにコーロキくん状態じゃん。連絡が取れないって一晩中、心をザワザワさせてるよ」

K「そういうところは、狂わせるガールかもしれないですね(笑)」

ドレス¥404,000/Marc Jacobs(マーク ジェイコブスカスタマーセンター)ピアス¥15,000/G.V.G.V.(ケイスリー オフィス)

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女を楽しんでいる人は、
男を狂わせる資質がある

K「どんなタイプが“出会う男すべて”狂わせるガールだと思います?」

「天真爛漫でつかみどころがない人。これは世の男どもがみんな狂わされるタイプだよね。無邪気が一番ヤバイ。“え〜私、クラブで踊ってただけじゃん”って、そういう女と付き合うと、男は邪気がある想像しかしないから心ザワつくわけ。特にコーロキくんみたいな若い人は、あかりみたいに自立してて自分の哲学もあるような女の人に付いていけないんだよね。男ってずっと幼稚だし」

K「やりたいことを、やりたいときにやっていたいんですよね、私の場合。だから、いわゆる毎日ご飯を作って旦那さんの帰りを待っています的な尽くし方はできないです。その代わり私も相手のことをとやかく言わないし、ちゃんとほかのやり方で尽くしますからって言いたい」

「でもさ、男がああいうふうにおかしくなるときってちょっとペーソスを感じるけど、女の人には全然ないよね。男はさ、フラれる=悔しいという負のエネルギーを恋愛感情と錯覚しちゃうから、どこか哀愁とか悲哀みたいなものが漂うんだけど」

K「私は、さっぱりしてるんで」

「あかりもそうだけど100%、女だもんね。“男気があるね〜”っていわれる女性には狂わされないし。希子ちゃんみたいにいい下着を買ったらそれに合う靴を探すみたいな、女として楽しんでる人には狂わせるガールの資質があると思うよ」

K「女として使えるものは使いたいとは思いますね。せっかく女に生まれたのに、もったいない」

「そこが抜け目がないところで。男を狂わせられない女って、どこかザルなところがあるから」

K「ザル…っていうのはどんな?」

「脱ぐと上下の下着バラバラじゃん!”っていうか。逆に穴なく100%女してる人は、狂わされるに値する。で、諦めるために、そういうガサツな情報、マイナスな部分を懸命に探しながらも、でもあいつエロいんだよな〜って思い出させる女の人は狂わせるガールになれるんだよね」

K「なるほど〜、勉強になります!」

「あいつ美味い弁当作ってくれたな〜、って情報は忘れちゃうから」

K「私はご飯作らないけど、それは女としてちょっと悲しい〜」

希子ちゃんは、
狂わせるガール界のニュータイプ

K「結局、エロい人じゃないですか」

「希子ちゃんがいうエロいは、民間の基準とはちょっと違うからわからないけど(笑)、最終的には美味い弁当に戻りはすると思う」

K「そんななか、私はどうですか?」

「希子ちゃんは、狂わせるガール界のニュータイプだと思うんだよね。きちんとした常識人でありながらも天真爛漫というか。昔の天真爛漫って、もっと何も考えてなかったけど、両方を兼ね備えたハイブリッド」

K「うーん…よくわからなけど、前向きに捉えておきます」

「でも、一人の女優さんの持ってる力で1本の映画が作れるってなかなかないから、すごいことだなって思うよ。加えて全男子に、自分の負の過去を思い出させる。すごい才能が開花しそうな予感がするよね」

K「では、これからはそちら方面で頑張っていこうかな(笑)」

映画情報はこちら

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映画『奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール』

渋谷直角によるサブカルマンガを妻夫木聡&水原希子が共演で『モテキ』『バクマン。』の大根仁監督が実写映画化。仕事で出会ったファッションプレスの美女、あかりに一目ぼれした雑誌編集者のコーロキは、彼女に見合う男になるべく、仕事に精を出し、デートにも必死になるのだが…。新井浩文、安藤サクラ、江口のりこ、天海祐希、リリー・フランキー、松尾スズキほか。全国東宝系にて公開中。

監督/大根仁
出演/妻夫木聡、水原希子、新井浩文、安藤サクラ、江口のりこ、天海祐希、リリー・フランキー、松尾スズキ他
公開/2017年9月16日(土)
URL/tamioboy-kuruwasegirl.jp

書影
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映画公開を記念して、妻夫木聡&水原希子がカバーに!

奥田民生に憧れる35歳の編集者コーロキの恋と地獄を描く。いい年をして、仕事で迷い、人生を憂い、恋に狂い…いつになったら民生みたいに「力まないカッコいい大人」になれるのか…? 映画の公開を記念してカバーデザインを一新。映画化に合わせ大幅に加筆された完全版が発売中。渋谷直角による映画化までの道のり日記付き。

原作『奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール』
著者/渋谷直角
出版社/扶桑社
価格/¥1,100
URL/www.fusosha.co.jp/books/detail/9784594077457

Profile

水原希子(Kiko Mizuhara) 1990年10月15日、米国生まれ。2003年より『Seventeen』(集英社)専属モデルとしてキャリアをスタート。ファッション誌をはじめ、ファッションブランドの広告キャンペーンやCM出演など国内外で幅広く活躍。2010年映画『ノルウェイの森』で女優デビュー。以降、数々のドラマや映画に出演。

Profile

リリー・フランキー(Lily Franky) 1963年11月4日生まれ。福岡県出身。武蔵野美術大学卒。イラストやデザインのほか、文筆、写真、作詞・作曲、俳優など、多分野で活動。初の長編小説『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』で本屋大賞受賞。絵本『おでんくん』はアニメ化。映画『ぐるりのこと。』『そして父になる』『凶悪』ほか出演作で多数の映画賞を受賞。

Photos : Wataru Fukaya
Hair&Makeup : Yusuke Saeki (Kiko Mizuhara)
Styling : Rieko Sanui (Kiko Mizuhara)
Text : Tatsunori Hashimoto
Edit : Michie Mito

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