SOYEONインタビュー「ソロで初の1位。一生記憶に残る出来事になった」『What a Wonderful Life』で見せた新しい表現

リーダー兼メインラッパー、総括プロデューサーとして、i-dleの音楽を牽引するSOYEON(ソヨン)が、ソロアルバム『What a Wonderful Life』をリリース。リード曲「I’m gonna TOESA (Narr. KIAN84)」は、韓国の音楽番組や音源チャートで1位を獲得するなど、大ヒットを記録。新しい表現に挑戦しながら、人生へのまなざしや、彼女の自由な遊び心が息づく本作の制作の裏側、楽曲とMVに込めた思い、今後の展望と休日の過ごし方まで、音楽と日常をめぐる思いを聞いた。
新しい音楽に出合い、自分の殻を破って生まれた表現

──2021年にリリースしたソロミニアルバム『Windy』から、今回の『What a Wonderful Life』まで、音楽の制作方法やご自身の表現にはどのような変化がありましたか。
「『Windy』以前は、自分の中にあるものを使って音楽を表現しようと、ずっと努力していた気がします。『Windy』以降は、もっといろんなことを勉強して、新しいものもたくさん取り入れるようになりました。今は、そこで得たものを活かして音楽を作っています」
──今作までの約5年間、i-dleの楽曲制作と並行して、ソロの制作も進めていたのでしょうか。
「いえ、そういうわけではなくて。というのも、i-dleの楽曲制作がとても忙しかったので、ソロアルバムも作りたいとは考えていましたが、実際に制作に取りかかる時間はありませんでした」
──ということは、ソロ作品を作ろうと決めて、そのための時間を確保されたのですね。
「はい。ちょうど1年前から準備を始めて、今回のリリースにつながりました」

───ここからは、収録曲とMVについて伺います。退職をテーマにした曲「I’m gonna TOESA (Narr. KIAN84)」は多くの人の共感を集めました。特に印象的だった「結局、私たちはみんなおばあちゃんになる」という歌詞は、どのようにして生まれたのでしょうか。
「この曲を制作するときに考えていたのは、『私たちは結局、みんなおばあちゃんになるのに、毎日こんなに大変な思いをして暮らしていかなくちゃいけないのかな』ということでした。そこから、この歌詞が思い浮かんだんです」
──MVでは、おばあちゃんの特殊メイクにも挑戦されています。ご自身の姿を見ていかがでしたか。
「私は単純に、自分がおばあちゃんになった姿を見て面白いな、と思っていました。でも、妹と母は、その姿を見て涙が出たそうです。母にとって、私は今でも“赤ちゃん”なんですね。そんな私もいつかおばあちゃんになるんだと思って、胸がいっぱいになったようです。私もあの場面を撮影するのは楽しかった反面、実は少しこみ上げるものがありました。あのおばあちゃんの姿は、単に年齢を重ねた姿を表現したものではなく、『人生にはいつか終わりが来る』ということを表現したものだったんです。『いつか、すべてのものと別れなければならないときが来るんだな』と思ったら、涙が出そうになりました」

──「Hate veggie song」は、ポップな曲調や歌詞と、ブラックユーモアの効いたMVとのギャップが印象的でした。この組み合わせは、どのようなアイデアから?
「発想はとてもシンプルでした。2007年から2010年ごろの韓国では、フラッシュ動画がすごく流行っていたんです。幼児よりはもうちょっと上の、小学生や中学生くらいの子供たちが見るような、そんな動画や曲でした。最初にあの頃のようなMVにしたいと思ったんです。でも、ただ『野菜が嫌い』と駄々をこねるだけでは面白くないから、もっと映画のように描こうと思ったんです。たくさんの方が楽しんでくださったようで、私もうれしいです」
──そして「icebluerabbit」は、i-dleのツアー「Syncopation」でソロ曲として披露されました。この曲名自体は、SOYEONさんのプロデューサーとしての別名義でもあるんですよね。
「『icebluerabbit』は、JEON SOYEONや、i-dleの音楽を作る自分から脱皮して、今までとは違うものを表現するために作った名前です。i-dleや自分の楽曲を制作する中で、少しずつ自分自身の中に閉じ込められているような感覚になっていったんです。それで、これまでの自分がまったくやりそうにないことに挑戦してみようと、この名義を作りました。これまで自分がやってこなかったタイプの楽曲を制作したときに、この名前を使っています」
──これからは新しい挑戦をしていく、という宣言のようなものでしょうか。
「というより、自分とは別のもうひとつの“自我”を作って、それを使い分けていく、と捉えてもらったらいいかなと。JEON SOYEONとして作る楽曲と、icebluerabbitとしてのものは、かなり違うものになると思います」
──「STAR」ではMVの企画から編集まで、すべての工程に参加されたそうですね。その理由を教えてください。
「この曲に関しては、プロの方たちと立派なMVを撮ることには、あまり意味がないと思ったんですね。ただ、自分の本心を注ぎ込んで作った方がいいと思ったので、各工程に私が参加しました」
──この曲にはSOYEONさんご自身が表現されているのではと感じました。それと同時に、「スター」という存在に対する葛藤も感じたのですが、どのような思いがこめられているのでしょうか。
「実はこの歌詞について深い意味があるというより、『私はスターで、何を言っても別に構わない』と、思うがままに書いた曲です。普段は色々なことを考えながら歌詞を書くのですが、この曲だけは、頭を空っぽにして書きました。それから、この曲ではサウンドにかなり力を入れています。私がとても好きなジャンルなんです。これまではあまりお見せできていなかったのですが、どうしてもやりたくて作りました」
──今回のアルバムに対して、i-dleのメンバーの皆さんからは、どのような反応がありましたか。
「実は、メンバーそれぞれとても忙しくて直接会えていないのですが、今回のアルバムがいろいろなチャートの1位になったときに、メンバーみんながグループチャットでお祝いしてくれました」
今回のアルバムで、目標のひとつを達成できた

──ここからは、プライベートについて伺います。お休みの日の過ごし方は?
「仕事がない日は、妹に会うことが多いです。ふたりでいろんなことをしていますが、最近は登山が好きで、この前は、韓国のプカンサン(北漢山)に行きました。そんなに険しい山ではなくて、面白いハイキングコースがいくつかあるんです」
──山に登っているあいだは、仕事から離れてリフレッシュできますか。
「そうですね。登山をしているときはドーパミンが出る感じがします。仕事のことを完全に忘れることはできませんが、やっぱり、登山は大変なので、山に登ることだけに集中できます」
──最近、「最高の人生だ」と感じた瞬間は?
「やっぱり今回、ソロで初めて1位になれたことです。私の人生において、一生記憶に残る出来事になったと思います」

──今回のアルバムは、ご自身にとって、どのような意味を持つ作品になりましたか。
「目標のひとつを叶えられた作品になりました。私は、それほどたくさんの目標をもっていたわけではないんですね。まずは、デビューすること、次にグループで1位になること、コンサートをすること。そして、ソロとして自分の音楽をたくさんの人に聴いてもらうこと。そのひとつを今回のアルバムで達成できたので、私にとって本当に大きなものになりました」
──今後のソロ活動については、どのように考えていますか。
「ソロ作品は頻繁に出せるといいのですが、今いちばん優先的に考えているのは、i-dleのアルバムのことです。これから1年ほど、i-dleの制作に集中しようと思っていますし、おそらくメンバーもみんな、そうだと思います」
──これからも、i-dleで表現したいこと、そこではやらないことをソロで、というように、フィールドを変えて、異なる表現をしていくのでしょうか
「i-dleにはi-dleに合った音楽があって、私には私に合った別の音楽があると思うんです。それぞれで並行して制作していけたらいいなと思っています」
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Photos: Shim Kyutai Interview & Text: Miho Matsuda Edit: Yukiko Shinto
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