LET ME KNOWインタビュー。初フルアルバムで見せる、バンドの現在地とこれから | Numero TOKYO
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LET ME KNOWインタビュー。初フルアルバムで見せる、バンドの現在地とこれから

2024年1月に活動をスタートした3ピースバンド・LET ME KNOWが、初のフルアルバム『Still Romance』をリリースする。80年代や90年代のUKロックへの憧憬を現代的に再解釈する「Nostalgic Modern」をコンセプトに掲げ、作詞作曲を手がけるMattyと、ギターのKehnとドラムのLyoによる緻密に作り込まれたサウンドで独自の世界観を築いてきた彼ら。本作には、これまでの歩みと、ここから先へ向かう意志が刻まれている。アルバム制作の背景、新曲『Lovely Ør Lonely』や『第六感より』に込めた思い、アートワークや海外でのライブ、さらにはプライベートでの趣味まで、3人の現在地をじっくり聞いた。

3人が見てきた景色が刻まれた1stアルバム

──「LET ME KNOW」というバンド名の由来は、3人の名前のアナグラムだそうですが、この名前に決めた理由は?

Matty「正直に言うと、僕たちを定義する名前は何でもよかったんです。LET ME KNOWという言葉を聞いて感じることは、人によって距離感も温度感も違うだろうし、受け取る人によって解釈が変わりますよね。あえて意味を決めすぎない感じもいいなと思って。すごく気に入っています」

──バンドのコンセプトは「Nostalgic Modern」ですが、それに決まった背景は?

Kehn「もともと、僕とLyoは80年代や90年代の音楽が大好きなんです。それを現代に再解釈しようということで、懐かしさと新しさが共存する世界観をコンセプトに掲げました。Mattyの生み出す旋律を僕らがアレンジして、そこにMattyのエモーショナルなハスキーボイスと日本語の歌詞が乗ったときに、初めて『Nostalgic Modern』が実現できたと感じています。Mattyがいなかったら、ふたりだけでは辿り着けなかったという感覚もあります」

Matty
Matty

──今回のアルバム『Still Romance』についてお伺いします。2024年1月に活動をスタートしてから、これまでの歩みをまとめた、バンド初のフルアルバムですね。

Kehn「ここまで2年ほど活動してきましたが、今まで僕らが見てきた景色がそのまま並んだアルバムになりました」

Lyo「これが集大成というよりは、ここからだという気持ちのほうが強いです。このタイトルにはいろいろな意味を込めていますが、『Still』には『まだ』という意味もありますし、バンドのこれからのことを考えてつけたタイトルです」

──アルバム全体を通して聴くと、1本の恋愛映画のようにも感じました。曲順には物語性を持たせたのでしょうか。

Lyo「曲順は、アルバムを聴いてくれる人がどんな気持ちになるのかを考えながら、何パターンも組みました。ただ、僕らがその物語を提示するというより、もし物語があると感じたならば、それは聴いた人たちの中にあるものなのかなと思います」

Kehn
Kehn

──新曲についてもお伺いします。『Lovely Ør Lonely』は、80年代の青春映画のような世界観を感じました。楽曲のインスピレーションソースは?

Matty「誰かに会った夜の高揚感と不安のようなものが、最初のイメージにありました。80年代のイギリス映画や音楽がもつ、孤独感と眩しさが混ざったムードには影響を受けていると思います。特定の作品をモデルにしたわけではないのですが、当時の作品に漂う希望と寂しさの両方を、無意識に拾っていたのかもしれません」

──この曲はバンド初の全編英語詞ですね。

Matty「特に大きな理由があったわけではなくて、世界観を表現するには英語のほうが合っていた、という感覚的な理由です。いつもは日本語で歌詞を書いているのですが、自然とこの曲は英語の歌詞になりました」

Lyo
Lyo

──先行公開された『第六感より』は、キャッチーなパンチラインの連続と爽やかなギターサウンドが心地いい、まっすぐなラブソングだと感じました。ライブでの盛り上がりも目に浮かびますが、楽曲制作の時点でライブはどのくらい意識されていますか。

Lyo「曲作りのときにライブはある程度は意識します。ただ、盛り上がるかどうかというよりも、ライブでどういう空気感を作り出せるかということを大事にしています。ライブで聴いてくれる人に、どんな気持ちで曲を受け取ってほしいか、ということです」

──アルバムでは作り込んだ音像だと感じたので、レコーディングとライブは別のものとして捉えているのかなと思いました。

Kehn「そうですね。曲によっては、音源とライブを分けて考えることもありますし、ライブでは音源とは違うアレンジにしようということもあります。『第六感より』は、僕たちのアーカイヴの中では、ある程度ライブを意識した曲だと思います」

──今回のアルバムのマスタリングを手がけたランディ・メリル氏は、アデルやテイラー・スウィフト、アリアナ・グランデ、ハリー・スタイルズなど、数々のアーティストのマスタリングをした名エンジニアです。今回ご一緒していかがでしたか。

Lyo「これほどのトップエンジニアになると、彼自身のカラーが色濃く出るのかと思いましたが、実際に上がってきた音源を聴くと、僕たちが音に込めた意図を完璧に汲み取ってくださって、何かを過剰に足したというより、旨みだけを無理なく引き出してくれました。僕らが鳴らしたかった音や、熱量がそのままアップデートされたことに感動しました」

──これまで発表された楽曲も、今回のアルバムでは新たにマスタリングされたということですよね。

Lyo「そうです」

──アルバムを聴くと、LET ME KNOWというバンドの奏でる音の深さと、表現の多層性を感じました。

Kehn「ありがとうございます。そう言っていただけて嬉しいです」

時代も国境も越えて伝えたい音楽とメッセージ

──LET ME KNOWの楽曲は、時代や国籍を横断する独自のサウンドが魅力的ですが、制作する段階では、そのバランス感覚をバンド内でどのように調整しているのでしょうか。

Kehn「自分たちが好きで聴いてきた音楽が、時代も国籍も横断しているから、僕たちの音楽もそうなるのは自然なことだと思っています。だから、曲を作るにあたっても『これは洋楽寄りだ』とか、『この曲は日本をイメージするものにしよう』とか、そういった意識はありません。かっこいいか、そうじゃないか。それだけです」

──メンバー間で、「この曲いいよ」と情報共有することは?

Kehn「よくありますね。2月にオーストラリアのバンド、Royel Otis(ロイエル・オーティス)が来日したときは、3人とも大好きなバンドなのでだったので、みんなでライブを観に行きました」

──アルバムリリース発表の少し前に、アーティスト写真が更新されました。デュラン・デュラン、ザ・キュアー、デヴィッド・ボウイなどを想起させるものでしたが、今回のヴィジュアルでイメージしたことは?

Lyo「今までと大きく変わったというより、LET ME KNOWとしてこれまで出してきたコンセプトと地続きだと思っています。影響を受けてきたものが、しっかり色濃くアウトプットされたものなのではないかなと。何かを彷彿とさせると感じたなら、それはその人の中にあるものを引き出せたということだと思います」

──MVなどアートワークでも一貫した世界観が展開されていますが、アートディレクションの面でのこだわりは?

Kehn「色彩という情報をそぎ落として、自分たちの存在を伝えようと考えています。余計な情報を取り除いたとき、何が残るのか。音でも、映像でも、写真でも、同じ問いを立てています」

──では、作品を作るときは、最初に曲があって、そのメッセージをどう伝えるかを考えながらアートディレクションを構築していくという順番ですか。

Matty「そういうときもありますが、すべてがそうではなく、伝えたいメッセージが先にあって、曲とアートワークを同時に作っていくこともあります」

──韓国でのライブやSUMMER SONIC BANGKOKへの出演など、海外での活動も増えてていますよね。

Matty「海外でライブができること自体、とてもありがたいことだと思っています。『偽愛とハイボール』がSNS経由で韓国で話題になっていたことは、純粋に嬉しい驚きでした。それがきっかけでソウルでも何度かライブをさせてもらったのですが、オーディエンスの熱量の高さも印象的でした。バンコクでのライブは、韓国とも日本とも全然違う独特の雰囲気で、ライブをする場所によってこんなに違うんだ、と肌で実感できて、とても貴重な経験になりました」

──LET ME KNOWにとって、海外で活動する意味とは?

Matty「『世界』や『日本』という意識はなく、どこで活動するかは重要ではないですね。多くの人に自分たちの音楽を届けたいということだけです」

──『Lovely Ør Lonely』は全編英語詞ですが、それは世界中に伝わるようにという意図があったのかと思いました。

Matty「もちろん英語の歌詞なら、日本語よりも海外のリスナーに伝わりやすいとは思います。ただ、今は日本語の曲でも世界で聴かれている曲がたくさんあるので、日本語でも伝わるものはあると考えていますし、英語詞を増やしていこうと意識しているわけではないんです」

──バンドの目標は、ロンドンのウェンブリー・スタジアムでのライブだそうですが、そこでも日本語の曲を?

Matty「もちろん!」

3人が足繁く通う、下北沢の名店

──音楽から少し離れますが、6月にはFIFAワールドカップ2026が始まります。Mattyさんは大のサッカーファンとしても知られていますが、今年のワールドカップに期待することは?

Matty「今回の日本代表は、ベスト4や優勝を狙うことも可能なんじゃないかと思っています。ケガをしている人が多いことが心配ですが、それはどうにか治していただいて。ファンとしては本気で優勝を願っています」

──LyoさんとKehnさんもサッカーは好きなんですか。

Lyo「3人とも共通してサッカー経験はあります。ただ、僕とKehnはMattyほどスポーツに熱量があるわけではなく、ワールドカップが近づいてくると、徐々に熱が高まってくるという感じです」

Kehn「中学生の頃まではサッカーをやっていたので、その頃は選手もたくさん知っていましたし、大好きでしたけど、音楽を始めてからは、音楽に夢中で。今はサッカーをやったことのない人よりも、詳しくないかもしれません(笑)」

──音楽以外で、3人に共通している趣味は?

Lyo「『らーめん 玄』さんかな」

Kehn「下北沢に『らーめん 玄』というお店があって、3人で一緒によく行くんです。ラーメン二郎 目黒店で修行された方が店主のお店です」

Matty「ジャパニーズ・ソウルフードですね」

Lyo「ラーメン二郎で修行された方がやっている、いわゆる“二郎インスパイア系ラーメン”にもいろいろなスタイルがありますが、『らーめん 玄』さんは、店主がラーメン二郎目黒店出身ということもあり二郎のオールドスクールな側面と緊張感をしっかり継承している、トラッドなお店です」

──ラーメンを食べても体型を保つコツはありますか。

Lyo「ラーメンを食べる日は、それ以外の食事を調整する。それを徹底すれば、体型は維持できると思います」

──バンドとして、ライブの前後に必ず行うルーティーンはありますか?

Lyo「それぞれありますね。みんなでやることとしては、ライブの30分前に集まって、セットリストを並べて、その日をどういうライブにするか確認します。1曲1曲のつなぎやMCも確認しながら、お客さんにどんな気持ちでライブを受け取ってもらうかという話を毎回するようにしています」

──個人で行っていることは?

Lyo「ウォーミングアップとして、練習パッドを叩いています」

Kehn「僕もウォーミングアップですね。ストレッチをしたりしています」

Matty「心拍数を上げるために、縄跳びをしたり階段ダッシュをしています」

──最後に、今回のアルバムを待っていたリスナーに一言。

Lyo「ファーストアルバム『Still Romance』は、僕たちにとって名刺代わりになるような作品です。1曲目から順番に聴いていただければ、僕たちが今やりたいことをしっかり体感していただけると思いますので、まずは、一度聴いてみてください」

Photos: Ayako Masunaga Hair & Makeup: Kenya Tadatomo(linx)  Interview & Text: Miho Matsuda Edit: Yukiko Shinto

Profile

LET ME KNOW Matty(Vo.)、Kehn(Gt.)、Lyo(Dr.)による3ピースバンド。80年代のUKロックをルーツに、現代的なエッジを融合させた「Nostalgic Modern」をコンセプトに掲げ、2024年1月に活動スタート。全曲の作詞作曲をMatty が、アレンジは双子のKehnとLyoが手がける。3rdデジタルシングル『偽愛とハイボール』は、リリース直後から多くのリスナーを惹きつけ、アジアを中心に支持が拡大している。ソウルでの単独公演を成功させたほか、2025 釜山国際ロックフェスティバルやSUMMER SONIC BANGKOK、LOUD BRIDGE FESTIVAL SEOUL 2026などにも出演。2026年6月からは東名阪のQUATTROツアー『1st album release TOUR 2026』がスタート。SUMMER SONIC 2026(大阪)にも出演予定。
 

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