Plan C カロリーナ・カスティリオーニ インタビュー「アートと家族、そして東京は私を触発する特別な存在」 | Numero TOKYO
Interview / Post

Plan C カロリーナ・カスティリオーニ インタビュー「アートと家族、そして東京は私を触発する特別な存在」

今秋から日本とさらに親密な関係を築くため、新たなスタートを切ったミラノ発のブランド Plan C。伊勢丹新宿店でのポップアップとGINZA SIX店のオープンのために来日したクリエイティブディレクターのカロリーナ・カスティリオーニにインタビューが実現! アートと共鳴するPlan Cのクリエイションについて話を聞いた。

カロリーナ・カスティリオーニの母親はマルニの創設者であり、家族とともに彼女自身も従事。その後、2019年春夏から父と兄とPlan Cをスタートした。自立した女性たちに向けた洗練された遊び心を感じさせるブランドとして、約5年という短期間でスタイルを確立。エッジの効いた大胆なデザインでありながら、トレンドやシーズンにとらわれないリアルクローズであることも人気の理由だろう。そんなPlan Cのクリエイションとともにあるのはアートの存在だ。

──東京を訪れたきっかけ、印象は?

「最初に訪れたのは20年以上前、23歳のときです。その頃はマルニで仕事をしていて、私は東京やアジアのマーケット担当でした。以来何度も来日していますが、とにかく東京はすばらしいです。それまで体験したことのある世界とはまったく異なっていると感じました。特に人間性ですね。日本人の女性はとてもエレガント。それから建築や文化からも多くの刺激を得ています。初めての来日時に、現代アーティストの村上隆から母がインタビューを受ける機会があり、その光景がとても印象に残っているんです」

──ミラノでもメディア「ペリメトロ」とのプロジェクトで『東京とその現代のストーリーテラー』という展覧会を開催するなど、東京に思い入れを感じます。あなたにとって、東京の街にはどのような魅力がありますか。

「Plan C初の旗艦店を東京でオープンしたように、私は本当に東京が好きなのです。いろいろなエリアを散策したり、幅広いタイプの人に会ったりしています。「ペリメトロ」とのプロジェクトでは、国際的な写真家など日本を拠点にする8人のフォトグラファーが、それぞれの視点でとらえた東京を集めました。特に気に入っているのはイタリア人写真家、レオナルド・ペレガッタの作品です。彼は東京にいるホームレスの住まいを撮影しました。不遇な状況にも関わらず、不思議と色合いが美しく、グラフィカルにも見えて」

Photo:Leonardo Pellegatta
Photo:Leonardo Pellegatta

──東京では昭和レトロな純喫茶、モダニズム建築、シティポップなども人気です。そういったカルチャーにも興味はありますか」

「もちろん! 私は東京に来たら、毎回必ず下北沢を訪ねます。実は昨日来日したばかりなのですが、すでに昨夜のうちに下北沢に行きました。お店は全部閉まってましたけど(笑)。帰国前にもまた足を運ぶ予定です。小さな喫茶店やヴィンテージショップがあり、ラグジュアリーとはひと味違う東京が見られるので」

──Plan Cとアートとの関係では、お嬢さんのマルガリータちゃんが描かれたフィリッポとビアンカが印象的です。コレクションに採用しようと思った経緯は?

「フィリッポとビアンカは、そもそもマルゲリータが3歳のときになにげなくサラッとに描いたイラストでした。その頃まだPlan Cは誕生していなかったのですが、いずれ何か形にしたいと保存しておいたものだったんです。その後このブランドをスタートすることになり、キャンバスバッグやTシャツにプリントして展開したら、いつの間にかフィリッポとビアンカがPlan Cのアイコンになりました」

──先頃東京にも巡回した『リトラッティ by カロリーナ・カスティリオーニ×プラン シー』でも、Plan Cとアートの関係が改めてフォーカスされました。ファミリーの写真から着想しオブジェにしているそうですね。あなたにとって、ファミリーの絆はどのようなものでしょう。

「私にとって家族は重要です。Plan Cはもちろん、以前のマルニも家族経営で常に大きな家族のなかでビジネスをしてきました。クリエイションにおいて家族はインスパイア源でもあります。『リトラッティ』の作品では3Dメガネをかけた娘や、娘と友だちがスイミングスクールで先生を待っているときの写真などから着想しました。ほかにも例えばこのスエットも、私が撮影した娘の写真からイメージを得ています。日常生活そのものが家族とミックスしていますし、とにかくカスティリオーニ家は仲が良くて絆が強いですね」

──Plan Cのクリエイションは、配色がキーポントです。ジオ・ポンティはもとより、メンフィスなど80年代にイタリアを席巻したポストモダンの影響はありますか。

「私はデザインが好きなので素材の使い方、配色など、その時代の影響も受けていると思います。デザインとファッションは近いので。今年の夏、ヴァカンス先のプロヴァンスで訪れたル・コルビジェ作品『カップ・マルタンの休憩小屋』近くにある、女性建築家アイリーン・グレイのヴィラ「E.1027」は、細部へのこだわり、素材や色の使い方にとても触発されました」

Photos:Carolina Castiglioni
Photos:Carolina Castiglioni

──Plan Cのショップの内装からも、そういったデザインの影響を感じます。

「そうですね。東京の旗艦店をつくるときに出会ったフィレンツェのアーティスト、ドゥッチョ・マリア・ガンビに依頼しています。コントラストのある異素材の組み合わせがユニークで気に入って」

──最近注目しているアーティストについて教えてください。

「たくさんいますが、一人あげるなら戦後イタリアの前衛芸術を牽引したアーティストのアルベルト・ブッリ。彼の故郷、トスカーナのチッタ・ディ・カステッロにある元タバコ乾燥所をリノベージョンした美術館、EX SECCATOIでは、とても大きな作品が展示されていて、配色、幾何学的なラインに圧倒されます。戦時中捕虜だった経験などから、作品は思想的でもあり、プラスチックを溶かして抽象的に表現するなどのコンセプチュアルな作風です」

──2024春夏コレクションでのトピックは?

「ミラノファッションウィークでは、ヴィジュアル撮影をしてくれたNYを拠点に活躍するウクライナの女性カメラマン、イェレナ・ヤムチュックとコラボレーションして、エキシビジョン『Nocotambulations』を開催します。ここでは24年春夏コレクションのルックブック用に撮影した写真に、彼女がコラージュのアートワークを施した作品を展示しました。

Photos & Artwork:Yelena Yemchuk
Photos & Artwork:Yelena Yemchuk

コレクションではデニムを取り入れたり、オーバーサイズのテーラードにはショートパンツを合わせて軽快に見せたりと、新しい試みもしています。そして一枚革で包み上げるようなデザインからフォルテッドと呼ばれるバッグに、小さなサイズで多くのカラーバリエーションも登場しますのでお楽しみに!」

ブルーベル・ジャパン
TEL/03-5413-1050
URL/plan-c.jp

Photos:Toshiki Fukunaga Edit & Text:Hiroko Koizumi

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