最高にクールなロックデュオThe Killsインタビュー | Numero TOKYO
Interview / Post

最高にクールなロックデュオThe Killsインタビュー

ジェイミー・ヒンスとアリソン・モシャートによるアイコニックでオリジナルな存在感を放ち続けるロックデュオ「ザ・キルズ(THE KILLS)」。昨年リリースされた5年ぶりのアルバム『アッシュ&アイス』について、そして気になる二人の関係について話を聞いた。

ヴィンテージな機材と現代のテクノロジーとの完璧なカクテル

──昨年のアルバム『アッシュ&アイス』までの5年間のブランクはファンにとっては長かったったように感じます。どのように音楽と向かい合っていたのでしょうか?

アリソン「そうね、確かに長くかかったけれど、制作に取りかかる前にはツアーが3年間くらい続いていたの。詩を書き始めたのはそれからで、ロンドン、ナッシュビルで過ごしたわ。それからL.A.にスタジオを作って、そこで実際に一緒に暮らしながら数ヶ月間レコーディングして、最後にN.Y.に移って、数週間かけて仕上げたの。レコーディングが終わってからも、ミックス、マスタリング、取材、そしてアートワークとやるべきことがたくさんあって、そんなことをしながら毎日が過ぎ去っていったものだから、5年間はあっという間だったのよね」

──このアルバムのためにスタジオでを作られたのですね?

アリソン「スタジオというよりは、一軒家で、いわゆるモバイルスタジオのような感じね。ミシガンでいつも使っているスタジオから機材やミキサー、とにかく色々とアウトプットするものをジェイミーが持ち込んで、スタジオの環境を整えていったの。リビングなんて機材で全部占領されてしまって、ケーブルが張り巡らされている状態だったわ。空いた箱があれば、いらないものをそこに詰め込んでどんどんと積み上げていったものだから、次第に家全体がまるでガレージみたいにめちゃくちゃに散らかっていってしまったの」

ジェイミー「友人のビルと僕が持っている機材を集めれば、そこらへんのスタジオより充実するんだ。だから、たとえホームスタジオとはいえ、レコーデイングのために十分素晴らしい環境を整えることが可能だったよ」

──以前より機材への並々ならないこだわりはうかがっていました。

ジェイミー「僕は、ヴィンテージな機材と現代のテクノロジーとの完璧なカクテルが好きなんだ。’60年代の古いアンプなんかは、現代のそれと比べ物にならないほどいい音を出すものがあるし、だから、マイク、キーボード、ギターなども古い機材を使えるというのはラッキーだとは思うよ。ただ一方では、今は驚くほどクレイジーなソフトウエアもあるわけで、それら両方を使いたいんだ」

──ちょうど今、ジェイミーは手にフィルム・カメラを持っていますが、写真もデジタルになってなんでもきれいに写るようになったけれど、フィルムにが持つ風合いはどうしても再現出来なかったりしますね。

ジェイミー「確かにそうだね。THE KILLSというバンドは、ギターサウンドが前面に出ていると思うんだけど、個人的には、ヴィンテージのドラムマシーンのサウンドも大好きなんだ。それにくわえて僕には現代のテクノロジーも必須で、ソフトウェアをプログラミングすることで得られる新しいタイプのサウンドというのも、とにかくとても大切なんだ」

二人の距離感は、ペットボトル一つ分

Photos&Text:Shoichi Kajino
Edit:Masumi Sasaki

Profile

THE KILLS(ザ・キルズ) ヴォーカリストのアリソン・モシャール(右)とギタリストのジェイミー・ヒンス(左)、フロリダとロンドンでそれぞれ活動していた二人が出会って誕生したロック・デュオ。2003年「Keep on Your Mean Side」で鮮烈にデビューを果たす。昨年発表された「Ash & Ice」は5作目。アリソンはジャック・ホワイトとのバンドThe Dead Weatherでも活動。ジェイミーは私生活において、ケイト・モスのパートナーとしてもその名を知られた。

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