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CHAIインタビュー「私たちの好きやハッピーでカワイイの常識を覆す!」

今、世界が注目するニュー・エキサイト・オンナバンド「CHAI(チャイ)」。ミラクル双子のマナ・カナのツインボーカルに、ベースのユウキとドラムのユナの男前なリズム隊で編成された話題の4 人組だ。人間誰もが抱えるコンプレックスを肯定し、 “コンプレックスはアートなり!”“NEOかわいい!” といった自分たちの価値観を音楽で表現する彼女たちにインタビュー。

ヘッドライナーに、Phoenix(フェニックス)、Carl Barat(カール・バラー)、JUSTICE(ジャスティス)、Basement Jaxx(ベースメント・ジャックス)らを迎え、4月末、6月5〜7日に渋谷で開催された国際音楽祭「SOMEWHERE,」にてオープニングアクト・アーティストとして出演したオンナバンド、CHAI。「コンプレックスは個性でアートなり」をモットーに、ポップでキャッチーなメロディに等身大の独特のコトバが調和し、アイコニックな双子のツインボーカルが歌い上げる。世の中のカワイイの常識に一石を投じる“NEOかわいい”CHAIワールドを覗いてみた。

──4月末に開催された、フェニックスをはじめジャスティス、カール・バラーら豪華メンバーがヘッドライナーを務める音楽イベント「SOMEWHEWE,」にサポートアクトとして出演されましたが、出演決定前に既に自分たちでチケットを購入されていたとか?

一同「そう!みんな大好きだから、行くでしょ!みたいに、条件反射で」

マナ「ジャスティス、ベースメント・ジャックス、フェニックスは、本当にもう大大大好きで。CHAIを始めた時から聴いてる音楽だから…」

カナ「それが、オープニングアクトとして参加が決まって、びっくりでした」

ユナ「本当に嬉しくて、奇跡のよう」

──そもそも音楽を始めたきっかけは? 今のメンバーでバンドやろうとなった経緯は?

カナ「ユナは高校の友達で、ユウキは大学の友達。」

マナ「ベースメント・ジャックスやジャスティスみたいな音楽を、バンドで表現したいって思ったのがきっかけ。あとディーヴォ(DEVO)、フェニックス、トム・トム・クラブ(Tom Tom Club)とか、そういうのを全部組み合わせたバンドをやりたくて、CHAIをスタートした」

──演奏したい、表現したい音楽があって、そこに乗せる歌詞、言葉はどうやって作っていくんですか? CHAIさんの音楽ではキャッチーな言葉も重要だと思いますが。

ユウキ「CHAIのバンドとしてのあり方とか、バンドの核になるテーマとして「コンプレックスはアートなり!」と決めてたんだけど、歌詞は楽曲を作る上でそんなに重要ランキングに入れてないの」

──自分たちを「オンナバンド」と名乗ってますね。「ガールズバンド」「女の子バンド」といった表現はよく耳にしますが、なぜ「オンナ」っていう言い回しにしたんですか?

マナ「なんかそのへんは自由だなってすごい思ってて。自分たちで発信していけば自由になるから。ガールズバンドって、“ボーイズバンド”って言わないのになんで女の子だけ“ガールズバンド”って言うんだろうって、ずっと不思議だったから」

──確かに、女性の映画監督や作家でも、女流という冠が女性に対しては付きますよね。

マナ「そうそう。本当は自由なものだと思うから、だったら別に“ガールズバンド”って言わなくてもいいはず。なんかすごくナチュラルな発想で『表現の仕方はなんでもいいでしょう』っていう」

──“ガールズ”という言葉にも違和感もあった?

マナ「だいぶ、世の中に溢れてるよね」

4人集まったら、コンプレックスは個性になった

──スローガンのように「コンプレックスはアートなり」と掲げてますが、自分たちも何かコンプレックスを抱えてたんですか?

ユナ「めちゃめちゃあった。容姿だと、フェイスライン。なんか人より顔が大きいっていうか、顔がうるさい。ここらへん(ほおを触りながら)を見せたくないなあ、っていうコンプレックス。顔の面積をできるだけ小さくしたくて髪の毛で隠したりごまかしてずっと生きてて」

──でも、今はサイドの髪もアップにして、堂々とフェイスラインを見せてますよね?

ユナ「そう、メンバーみんなのおかげで」

──コンプレックスは個性みたいな気持ちに変わって?

ユナ「あなたにしかないとこだよって、すごくみんなが褒めてくれて、欠点でしかないと思ってたのがちょっと自信に変わった。これが私の良いところ、他人とは違う個性という視点に180度変わったから」

ユウキ「私もコンプレックスはいろいろあるけど、首が長いとかもそうだし、痩せ体質もそう」

──ある人にとっては羨ましい部分も、別の人にはコンプレックスになったり。人の価値観ってそれぞれですよね。マナさんとカナさんどうですか?

マナ「私たちは一緒で、逆に痩せれないし、めっちゃ太るわけでもないし。目が小さいのはすごい小さい頃からコンプレックスだったね?」

カナ「うん、そうだね」

──コンプレックスが、これコンプレックスじゃなくない?という考えに変わっていったんですね。

ユウキ「CHAIになってからかなあ。素直にそこがいいと思って褒め合う、みたいなのが4人の中にあって。そこが長所だよっていうか」

──音楽を作っていく上で表現の原動力や、作品づくりのモチベーションはなんですか?か。

マナ「音楽を通して伝えたいことは、“かわいいの価値観を変えたい”っていうのがあるんだけど、でも言葉より音楽だったから。だから、伝えたいというよりは、私たちはこういう見た目で、このくらい自信があって、4人だからできる、女の子だからできる。そこを武器にして音楽を発信したい。その上で言葉が後からついてくる。だからはっきり「なになにを伝えたくて音楽やってます」っていうのは違うかな」

カナ「体で感じてほしいが一番!」


Numero.jpにて「パントビスコのお悩みスペクタクル」を連載中のパントビスコとのコラボレーションによるMV「かわいいひと」

“NEOかわいい”でカワイイの価値観を変える

──一般的にカワイイと言われる、括られるものに対してどこか疑問を感じている?

マナ「なんかね、いわゆるカワイイと思うものがあるじゃない? それはもちろんカワイイと思う。雑誌に載ってるモデルさんや女優さんは、ほんとにカワイイと思うんだけど、それ以外の女の子たちはじゃあなんなの?ってなった時にブスになるから、それを逆におかしいと思ってて。カワイイはカワイイけど。そうじゃないカワイイもあるじゃんって」

──世間のカワイイに属さないのはもう全部ブス、みたいな?

マナ「そうそうそう。それ以外の子たちだって、そのまんまが生まれたときからカワイイから『カワイイんだよね』ってことを言いたくて “NEOかわいい”って言葉を作ったの」

──“カワイイ”以外をNEOかわいいと表現するのは、今の風潮を感じました。人種の問題、LGBTQと、差別や偏見に対して敏感な世の中ですが、そういった社会を取り巻く状況について意識はしてますか?

カナ「音楽を作る上では、世間の考えは気にしてない。私たちの思うハッピーを常にみんなに発信したいと思う」

──それがいわゆる世相と合致してるところがあるのかもしれませんね。

ユウキ「社会がそうなってるならいい方向なんじゃないかな」

©️中磯ヨシオ
©️中磯ヨシオ

なになにっぽいは絶対嫌!CHAIのオリジナリティとは

──曲を作る上での、インプットは、何から得ることが多いんですか?

カナ「曲から曲にインプットされるんだけど」

マナ「3曲くらい聞いて、そこからもらった刺激でいい曲ができる、みたいな。いいとこドリ。でも、あえて日本の音楽は一切聴かずに作る」

──あえて日本の音楽を聞かないのはなぜ?

マナ「CHAIだけの音楽にしようとした時に、日本にあるものを聞いたとして、なになにっぽいって言われるのがすっっっごい嫌!洋楽は私たちにとって、全然違う音楽なので、すごく刺激的で。だから多分体にとっていいんだと思う(笑)」

──洋楽を聞いて、日本的なフィルターを通して形になると。

カナ「そう、海外の人は全然ありえない考えを持っているから」

マナ「“なになにっぽい”や、“誰かっぽい”が一番嫌で」

──では、最近、インプットとして聞いた音楽はなんですか?

マナ「ザ・ゴー!チーム(The Go!Team)かな」

──日々音楽をリサーチしたり知る手段は?

マナ「Spotifyとか、Shazamとかが多いかな。YouTubeはあんまり見ない」

──街で耳にした音楽をこれ良いなと。

マナ「そうそう(笑)」

──街で流れる音に対して常に敏感なんですね。

マナ「確かに、良いと思ったら敏感だね」

ユナ「そうね。入ってくる」

──メンバー同士、曲の好みは似ている?

一同「同じ。無意識にほとんど一緒」

──では、音楽以外からインプットすることは? 歌詞の場合はどうですか?

ユウキ「う~ん。逆に街からのインプットはないかも。でも基本にあるのは「コンプレックスが、それコンプレックスじゃないんだよ」みたいなことだから。「みんなのコンプレックス何?」みたいなこともあるし。でも歌詞は本当に曲ができあがって最後に作る、ひたすら。ただの「ややややや~ん」っていう仮歌の状態の曲を聞いて膨らます感じ」

──なかなかの妄想力をお持ちですね(笑)。

ユウキ「そう、妄想力だと思う。ただ、CHAIとして等身大でありたい。他人の言葉にならないように。CHAIの音楽だから、出る言葉、入ってくる言葉にしたいとは考えてる」

──20代の今と、もしかしたら30、40代になってからのコンプレックスや悩みは変化するかもしれないけど、CHAIはそのときの等身大を歌っていくのか、それとも永遠の少女性みたいなものをキープするのか。

ユウキ「少女性とかは考えない。音楽作るときも、今好きなものだし、今思ってることだし、今誰が何を考えてるかが大事なの」

──今が常に大事なんですね。一方では、例えば、サザエさんみたいに常に変わらないものもありますよね。

マナ「そういう意味では変わらないかも。その時を大事にするけど、CHAI自身は全然変わらないから」

カナ「今何を好きか、今に何を考えてるか」

ユウキ「人に変わったなと思われても、どう思われてもどうでもいい」

無理しない。見栄はらない、等身大が一番大事。

──では、音楽以外に今、好きなことはありますか?

マナ&カナ「私たちは、服、ファッションが好き。特に古着が大好き」

──ファッション好きだと、服を作ってみたいって気持ちも出てくるのでは?

カナ「めっちゃある~。めっちゃやりたいって言ってる(笑)」

──ところで、自分たちの音楽の原体験というか、音楽に魅せられたきっかけは何でしたか?

カナ「周りに音楽があったかも。私とマナは歌手になりたかった、小さい頃から」

マナ「別に親もミュージシャンでもなく、テレビで普通にモーニング娘。とか見てた」

カナ「単純にああいうふうに歌を歌うことが好きだったから」

マナ「ママもずっと家で歌を歌ってたし」

ユウキ「私は、音楽を聴くのは好きだったけど、自分でやりたいと思ったことなかったから、誘われて初めてやることになった。それまで楽器になんて全然興味なかった(笑)」

──小さい頃にピアノは習ってたりは?

ユウキ「保育園の時にやらされたけどすぐやめて。怒られて、何が楽しいのかわからなかった(笑)。でも、CHAIでベースをやることになって、やったことないからやってみたいと思った」

ユナ「私は、小中とずっと超テレビっ子で、そのときにORANGE RANGEのドラムの人を見て、『かっこいいな~。何あれ、ドラムっていうんや~』って思って。当時はピアノをずっとダラダラやってたんだけど、ああドラムやりたいとふつふつ思うようになったって感じかな。そこから芽生えてる」

──CHAIは海外でも話題ですが、音楽を発信する上で、日本人であるというアイデンティティについて考えたりしますか?

ユウキ「忘れないってことかな。わざわざ“日本人です”とか“日本の音楽”とか主張するのは嫌だけど」

──意識してなくても海外へ行くと、「日本っぽい」って言われることはあるのでは?

ユウキ「日本人としてのアイデンティティをちゃんと持ってるかというのは、求められる。日本を捨ててるとか、日本の音楽じゃないんだってやっていると、『アイデンティティ捨ててるね』ってすぐバレちゃうし、そういうのはよくないって思われるから」

カナ「普段話してる言葉が日本語で、日本語で歌ってるっていう、単純にそれだけ。生まれた時から黒髪だし、わざわざ意識して表現しなくても、それがたぶんアイデンティティになってるんだと思う」

──“日本語で歌う”っていうのがある種のスタイルみたいなものだと。

カナ「そうだね、英語がベラベラ喋れたらわかんなかったけど。ベラベラ喋れてないし、そっちで生まれてないし」

──海外に行ったからこそ「自分たちのスタイルはこれ」と再確認したことは、他にもありますか?

マナ「たぶん自分たちにとって等身大であることが一番大事だから。無理しない。見栄はらない、みたいな。それはどのアーティストにも世界共通だと思う。日本人だからそう、とかじゃなく」

©️中磯ヨシオ
©️中磯ヨシオ

CHAIの活動は音楽に止まらない⁉︎

──これから目指すものは?

ユウキ「早くグラミー賞をとりたいって、ずっと言ってる」

──グラミー賞を取ったら、その次は?

マナ「いっぱいある」

ユナ「いっぱいあるから何から言ったらいいかな。『CHAIランド』みたいなテーマパーク作りたいとか」

カナ「ファッションもやりたいし、動物も助けたい」

マナ「“カワイイ”の価値観を変えて、アジアの顔になりたいし」

ユウキ「うん。忙しい」

マナ「あと『CHAI(シーエイチエーアイ)』っていう団体にもなりたい。WHOみたいに、なんかいろんなことをする」

──“NEOかわいい”の普及活動みたいな?

カナ「宗教っぽくはないけど、ちゃんと団体として。CHAIがライブしなくても活動してるっていうふうにしたいし、年を取ったら演奏できないかもしれないから」

──暖簾分けみたいなバンドが増殖するとか?(笑)

マナ「暖簾分け、ヤバイね(笑)」

カナ「なんかはやってたいね」

──とにかくCHAIという活動をもっともっと拡大していきたいと。

一同「はい!」

CHAIが選ぶお気に入りミュージック

JUSTISE『+』

「特に『D.A.N.C.E.』は曲として、CHAIがやりたいことの完璧な形。子供らしさと、かっこよさがあって、メロディもリズムもいい。いいとこが全部詰まってる。やられたって感じ」

Toploader『Onka’s Big Moka』

「『Dancing in the Moonlight』は、あの景色をずっと忘れたくないっていう曲。別に夢のことを言ってるわけじゃないんだけど、聴いた時に見える情景や浮かんでくる景色を思いながら、ずっとこの気持ちで音楽をやりたいって感じさせてくれる」

Hippo Campus『Bambi』

「自分たちには絶対できないロマンティックさを持ってる。海外で生きてきた人にしかわからないロマンティックで、日本には絶対ないものだから、それを音楽で味わえるのが『Bambi』。『うわあ、こんな男の人いい!』とか、音楽の雰囲気でわかる。『こんなふうに夜を毎日過ごしたら、なんてロマンティックなんだろう』って想像できる曲」

CHAI『PUNK』

¥2,400(OTEMOYAN record)

CHAI JAPAN TOUR
「PINKなPUNKがプンプンプン トゥアー!」

6月8日(土)、名古屋・DIAMOND HALLを皮切りに、大阪、札幌、福岡を経て、6月29日(土)、新木場 STUDIO COASTと、8都市を巡るジャパンツアーを開催する。

VINTAGE ROCK std.
TEL/03-3770-6900
URL/www.vintage-rock.com/

「ヌメロ・トウキョウ」おすすめミュージックリスト

Photos:Gen Saito Edit&Interview&Text:Masumi Sasaki

Profile

チャイCHAI 双子のマナ(ボーカル、キーボード)・カナ(ボーカル、ギター)に、ユウキ(ベース)とユナ(ドラム)で編成された4人組『NEO – ニュー・エキサイト・オンナバンド』。2017年、SXSW出演と初の全米ツアー大成功させ、FUJI ROCK FESTIVAL “ROOKIE A GO GO”超満員を記録など、破天荒な活動を繰り広げる。10月、1stアルバム「PINK」をリリース。18年2月に「PINK」US盤を米・人気インディーレーベルBURGER Recordsよりリリースし、3月にはアメリカ西海岸ツアーと2度目のSXSW 出演を果たす。2019年2月、2ndアルバム『PUNK』発表。6月8日より「PINKなPUNKがプンプンプン トゥアー!」を全国8都市にて開催。

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